株価の動きが読めない…投資は見送るべき?→実は「タイミングを考えない継続投資」が望ましいといえる理由【マクロストラテジストの見解】

株価の動きが読めない…投資は見送るべき?→実は「タイミングを考えない継続投資」が望ましいといえる理由【マクロストラテジストの見解】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今月5日には日経平均株価が過去最大の下落幅(前日比−4,451円)を記録し、その翌日には過去最大の上昇幅(前日比+3,217円)となるなど、乱高下する株式相場。このような状況下では「いまは投資を見送ったほうが良いのでは」と考える人も多いでしょう。しかし、そのような「タイミングを見極める行為」は、長い目でみるとむしろ非効率かもしれません。フィデリティ・インスティテュートの首席研究員である重見吉徳マクロストラテジストが、「継続投資」の有効性を解説します。

これから下落なら積み立て投資

[図表7]は、2000年のITバブルのピークから、基準価額10,000円の米国株式投資信託(S&P500に連動)積み立て投資を始めた場合の、投信の基準価額【緑】と平均買い入れ単価(=持ち値)【灰色】の推移を見たものです。言い換えれば、「最悪のタイミング」から積み立て投資を始めた人の状況を追いかけています。実は最悪ではなく、良いタイミングです。

 

[図表7]ITバブルのピークから、基準価額10,000円の米国株式投資信託につみたて投資を始めた場合の基準価額と平均買い入れ値(持ち値)
[図表7]ITバブルのピークから、基準価額10,000円の米国株式投資信託につみたて投資を始めた場合の基準価額と平均買い入れ値(持ち値)

 

この投資家は、2000年8月のITバブルのピークから積み立て投資を始めていますから、買い始めた途端に【緑】の基準価額はどんどん下がっていきます。ITバブルの崩壊です。ただし、それとともに【灰色】の買い入れ単価(=持ち値)も下がっていきます。

 

その後、【緑】の基準価額が10,000円に戻るのは、2006年の10月です。ただし、投資家が含み益に転じるのは、それよりも3年程度早い2003年12月です。当然ながら、この投資家は、2000年8月から毎月積み立てをして、持ち値が下がっているためです。

 

株価の下落局面で積み立て投資を開始すれば、株価の完全回復を待たずとも、含み益が出ます。同じことは、2008年のリーマン・ショックでも確認できます。『100年に1度のショック』でも大丈夫でした。

 

もしも、みなさんが、「株価は「長期右肩上がり」だと思うが、しばらく株価は下がる」と考える場合には、積み立て投資は「痛みを少なく、そして、大きな成果を得られる」可能性があります。

 

合わせて、【右】の【緑】と【灰色】の「系列名称」のところに直近の基準価額と買い入れ単価を載せておきました。

 

24年間ほど積み立て投資をし、直近の基準価額が57,000円を超えても、買い入れ単価は18,000円台と持ち値はかなり低い状態です。

 

まとめると、「これから下がるなら、積み立て投資。全戻しせずとも、プラスに転じる」です。

 

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重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

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