株価の動きが読めない…投資は見送るべき?→実は「タイミングを考えない継続投資」が望ましいといえる理由【マクロストラテジストの見解】

株価の動きが読めない…投資は見送るべき?→実は「タイミングを考えない継続投資」が望ましいといえる理由【マクロストラテジストの見解】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今月5日には日経平均株価が過去最大の下落幅(前日比−4,451円)を記録し、その翌日には過去最大の上昇幅(前日比+3,217円)となるなど、乱高下する株式相場。このような状況下では「いまは投資を見送ったほうが良いのでは」と考える人も多いでしょう。しかし、そのような「タイミングを見極める行為」は、長い目でみるとむしろ非効率かもしれません。フィデリティ・インスティテュートの首席研究員である重見吉徳マクロストラテジストが、「継続投資」の有効性を解説します。

今日や明日の値動きに意味はない⁉

米国の景気後退入り懸念から、世界の株式市場では大幅な下落が続きました。

 

他方、債券市場では利回りは大きく低下したものの、たとえば利下げの織り込みについていえば、年内に1%強(0.25%換算で4~5回程度)、来年に1.25%程度(同5回程度)と、「ソフト・ランディング」の織り込みといえます(≒「深刻な景気後退ではない」、あるいは「深刻な景気後退と決め打ちはできない」との見方です)。

 

(複数の調査がある)米労働省の雇用統計は「悪化」というよりも、「鈍化」の範囲ですから、「ソフト・ランディングの織り込み」は自然といえるでしょう。「決め打ち」も、「決め打ちに基づく恐れ」も良い行動にはつながりません。

 

いまは、「資産運用を続けることを運命と覚悟する」かのように感じて(⇒もちろん、実際にはみなさん次第です)、「時間と資産の十分な分散を行う」ことです。そうすれば、「短期的な痛み」は小さくなり、「長期的なリターン」の獲得に向けて、資産運用の継続を容易にします。

 

今日や明日の値動きは意味のないものです。資産運用の予定期間、資産運用の目的を思い出してください。5年先の米国経済、10年先の世界経済、20年先、30年先のイノベーションを見据えてください。

 

継続投資の重要性

[図表1]をご覧ください。

 

【緑のライン】は、S&P500です。【赤の縦線】は、あるタイミングを示しています。【赤の縦線】はおおむね、【緑のライン】のS&P500が大幅に下落するタイミングと同じです。

 

実は、【赤の縦線】は、「S&P500の日次上昇率トップ40のタイミング」です。確認すると、「下落率」ではありません。

 

[図表1]S&P500と日次上昇率・上位40日のタイミング(1988年以降)
[図表1]S&P500と日次上昇率・上位40日のタイミング(1988年以降)

 

すなわち「株価の大幅上昇」は、株式市場が急落しているタイミングで発生しがちです。

 

なぜでしょうか。たとえば、

 

・急落の局面はパニックが生じていて、相場の下落が過剰であり、自立的な反発(買い戻し)がある

 

・急落の局面は金融緩和や財政出動などの政策対応が打たれ、これが相場の転換につながる

 

といったことが挙げられるでしょう。

 

急落の局面で売却すると、大幅な反発・戻りを取ることができない可能性があり、その後に投資を再開してもリターンが大きく減ることになります。そうなるよりも、資産運用は継続するほうが、成果が高いことはいうまでもありません。このことを[図表2][図表3]で確認します。

 

[図表2][図表3]は、【青色の棒】「S&P500への継続投資の成果」(1988年1月以降)と、【灰色の棒】「S&P500が大幅上昇を記録した日に投資していなかった場合の成果」(同)を比べたものです。

 

1988年から直近までに約9,500営業日ありますが、このうち、たった1日、たった5日、たった10日……、投資をしていなかっただけで、資産運用の成果は大きく異なります。

 

タイミングを取らず、継続投資を続けることが望ましいとわかります。

 

[図表2]1988年1月初めに、1万米ドルを、S&P500に投資した場合のトータルリターン
[図表2]1988年1月初めに、1万米ドルを、S&P500に投資した場合のトータルリターン

 

[図表3]1988年1月初めに、1万円を、S&P500に投資した場合のトータルリターン
[図表3]1988年1月初めに、1万円を、S&P500に投資した場合のトータルリターン

 

 

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