資産運用は経済・企業活動の成果を取るもの
[図表4]は、投資期間に沿った「最大上昇率と最大下落率」(年率、円ベース、1985年1月以降)を測ったものです。
【一番左】「投資期間が1年」の場合、大きく上昇する場合もあれば、大きく下落する場合もあります。非常に良い「12ヵ月間」に当たれば大きなリターンを得られますが、非常に悪い「12ヵ月間」に当たれば大きな損失となります(→前節の観察にならえば、両者は近いタイミングで生じている可能性があるでしょう)。
同様に、【真ん中2つ】「投資期間が5年間」や「10年間」の場合、非常に悪いタイミングに当たれば、投資成果がマイナスになる場合もあります。
他方で、【一番右】「投資期間を20年間」まで伸ばせば、マイナスになることはありませんでした(→将来を保証・示唆するものではありません)。
このデータは、「資産運用は短期間で行うものではない」ことを示しているでしょう。逆に、たとえば、12ヵ月間しか投資をしないなら、それは投機と似た性格を持ちます。
また、資産運用は、経済成長やこれに伴う企業活動の成果を得るものです。このデータはそうした成果は、長期間によってはじめて安定的に得られることを示唆しているでしょう。
下落したら売るべきか?
[図表5][図表6]は、S&P500とTOPIXの「年間リターン」【緑の棒】と、「年初来の最大下落率」【赤の点】、を比較したものです。わかることは、
・【赤の点】1年のうちで大きく下がった時に売却することに比べると、【緑の棒】年末まで持ち切ったほうが下落率が少ない場合がほとんどであり、年末値が年初来安値になるケースはまれです。もちろん、年間で上昇する場合が多くあります。
株式市場は大きな下落を経験したとはいえ、まだ年初来で見ると上昇しています。そして、「ソフト・ランディング(≒「深刻な景気後退ではない」)」の可能性も十分に考えられます。仮に、下落に転じる場合にも、資産運用は継続することが望まれます。