株価の動きが読めない…投資は見送るべき?→実は「タイミングを考えない継続投資」が望ましいといえる理由【マクロストラテジストの見解】

株価の動きが読めない…投資は見送るべき?→実は「タイミングを考えない継続投資」が望ましいといえる理由【マクロストラテジストの見解】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今月5日には日経平均株価が過去最大の下落幅(前日比−4,451円)を記録し、その翌日には過去最大の上昇幅(前日比+3,217円)となるなど、乱高下する株式相場。このような状況下では「いまは投資を見送ったほうが良いのでは」と考える人も多いでしょう。しかし、そのような「タイミングを見極める行為」は、長い目でみるとむしろ非効率かもしれません。フィデリティ・インスティテュートの首席研究員である重見吉徳マクロストラテジストが、「継続投資」の有効性を解説します。

資産運用は経済・企業活動の成果を取るもの

[図表4]は、投資期間に沿った「最大上昇率と最大下落率」(年率、円ベース、1985年1月以降)を測ったものです。

 

【一番左】「投資期間が1年」の場合、大きく上昇する場合もあれば、大きく下落する場合もあります。非常に良い「12ヵ月間」に当たれば大きなリターンを得られますが、非常に悪い「12ヵ月間」に当たれば大きな損失となります(→前節の観察にならえば、両者は近いタイミングで生じている可能性があるでしょう)。

 

同様に、【真ん中2つ】「投資期間が5年間」や「10年間」の場合、非常に悪いタイミングに当たれば、投資成果がマイナスになる場合もあります。

 

他方で、【一番右】「投資期間を20年間」まで伸ばせば、マイナスになることはありませんでした(→将来を保証・示唆するものではありません)。

 

[図表4]投資期間別のリターン
[図表4]投資期間別のリターン

 

このデータは、「資産運用は短期間で行うものではない」ことを示しているでしょう。逆に、たとえば、12ヵ月間しか投資をしないなら、それは投機と似た性格を持ちます。

 

また、資産運用は、経済成長やこれに伴う企業活動の成果を得るものです。このデータはそうした成果は、長期間によってはじめて安定的に得られることを示唆しているでしょう。

 

下落したら売るべきか?

[図表5][図表6]は、S&P500とTOPIXの「年間リターン」【緑の棒】と、「年初来の最大下落率」【赤の点】、を比較したものです。わかることは、

 

・【赤の点】毎年、それなりに、年初来で見て下落します。

 

・【赤の点】1年のうちで大きく下がった時に売却することに比べると、【緑の棒】年末まで持ち切ったほうが下落率が少ない場合がほとんどであり、年末値が年初来安値になるケースはまれです。もちろん、年間で上昇する場合が多くあります。

 

株式市場は大きな下落を経験したとはいえ、まだ年初来で見ると上昇しています。そして、「ソフト・ランディング(≒「深刻な景気後退ではない」)」の可能性も十分に考えられます。仮に、下落に転じる場合にも、資産運用は継続することが望まれます。

 

[図表5]S&P500の年間リターンと年初来・最大下落率
[図表5]S&P500の年間リターンと年初来・最大下落率

 

[図表6]TOPIXの年間リターンと年初来・最大下落率
[図表6]TOPIXの年間リターンと年初来・最大下落率

 

資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部

次ページ「積み立て」投資はなぜ重要?

【ご注意】
※本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧