(画像はイメージです/PIXTA)

不安定ながらも円高傾向が続く値動きのなか、「円安トレンド」の転換が予感される現在、「米ドル円」に対する世の中の関心はかつてないほどに高まっています。そこで、来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな、先週の米国経済の動きについて、東京海上アセットマネジメントが解説します。

7月の雇用統計は低調だったものの、雇用は拡大傾向

全米供給管理協会(ISM)が公表した2024年7月のISM非製造業景況指数は51.4(市場予想︓51.0)と、前回6月に記録した48.8から上昇し、2ヵ月ぶりに50(景気拡大・縮小の分かれ目)を回復しました(図表6)。

 

出所:Bloomberg
[図表6]ISM景況指数の推移 出所:Bloomberg

 

米国の景気後退への懸念が高まるなか、それに拍車をかける可能性がある経済指標として注目されたものの、サービス業の企業活動が依然として底堅さを維持していることが示されました。

 

7月の雇用統計が低調な結果となるなか、懸念された雇用指数は、6月の46.1から7月に51.1に急上昇し、雇用の拡大を示唆する水準となりました(図表7)。

 

出所:ISM
[図表7]ISM景況指数の主な調査項目 出所:ISM

 

もっとも、拡大としたとはいえ、水準としては強い数字ではなく、雇用の増加を報告したのは、18業種のうち8業種にとどまっています。また、景気に先行するとされる新規受注指数も52.4(6月︓47.3)へ上昇し、これも景気後退懸念を和らげる結果となりました。もっとも、過去に景気後退入りした期間においても、50を境に振幅を繰り返しており、足もとでも同様の動きをしています(図表8)。

 

出所:Bloomberg
[図表8]ISM非製造業景況指数のうち新規受注指数の推移 出所:Bloomberg

 

ISM非製造業景況指数に先んじて公表された7月のISM製造業景況指数は、6月の48.5から46.8へ悪化したものの、ウェイトの大きい非製造業を含めた経済指標が改善したことで、GDPNow(アトランタ連銀公表)に基づく2024年7-9月の実質GDPは、前期比年率+2.9%(8日時点の予想値)と、1-3月期(同+2.8%)並みの成⻑率となることが予想されており、現状では、米国の景気後退入りが想定される状況にはないと判断されます。

※アトランタ連邦準備銀行が、リアルタイムに米国の経済成⻑率を予測することを目的に公表している指標

 

一連の雇用関連指標の公表を受け、FRB高官からも景気後退入りに慎重な見方が示されています。シカゴ連銀のグールズビー総裁は、「雇用の数字は予想よりも弱かったが、リセッション(景気後退)の様相をまだ呈していない」としたうえで、「いかなる単月の経済指標にも過剰反応することは避けたい」と述べたほか、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は「労働市場が減速しすぎて、景気後退に傾かないようにすることが非常に重要だ。しかし、まだそうはなっていない」と、急速に浮上した景気後退観測を否定しました。

 

もっとも、FRB高官が指摘するように、景気後退入りが間近に迫っていないとしても、数日にわたる金融市場の変動(株価の急落等)は、企業の景況感や消費者マインドの悪化を通じて、企業の投資行動や家計の消費行動を抑制し、結果として景気悪化を引き起こす可能性があります。
 


東京海上アセットマネジメント

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…8月第2週の「米国経済」の動き』を参照)。

 

 

※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。

※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。

 

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※本連載は、東京海上アセットマネジメントのレポート『〜TMAMマーケットウィークリー(8/5~8/9)~』より一部を抜粋し、再編集したものです。
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