(※写真はイメージです/PIXTA)

相続人間での遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停委員が遺産分割に関する話し合いを調整してくれる「遺産分割調停」へ移行します。遺産分割調停は、どのような流れで進行するのでしょうか? 本記事では、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が、遺産分割調停の進め方と注意点について解説します。

遺産分割協議がまとまらない→遺産分割調停の申し立て

相続人同士での遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割調停の申し立てへと進みます。ここでは、遺産分割調停を申し立てるまでの基本的な流れを解説します。

 

管轄の裁判所を確認する

遺産分割調停はどの裁判所に申し立ててもよいわけではなく、管轄の裁判所へ申し立てなければなりません。遺産分割調停の管轄裁判所は、原則として相手方(他の相続人)の住所地の裁判所です。ほかの相続人が複数いる場合は、そのうち誰か1人の住所地の裁判所が管轄となります。

 

ただし、当事者(相続人)全員による合意ができれば、合意した裁判所を管轄にできます。この場合は、相続人全員が管轄にについて合意していることを示す「管轄合意書」を提出しなければなりません。

 

また、心身の健康状態によって遠方へ出向くのが難しい場合や、生活が困窮しており遠方へ出向く金銭的な余裕がないなど一定の事情がある場合は、自身の住所地を管轄する裁判所で調停を行えるケースもゼロではありません。ただし、本来の管轄とは異なる管轄に申し立てた場合はトラブルに発展する可能性があるため、弁護士へ相談のうえ慎重に判断することをおすすめします。

 

必要書類を準備する

管轄の確認と並行して、必要書類の準備をします。遺産分割調停の申し立てに必要となる主な書類は、次のとおりです。なお、状況によってはこれら以外の書類が求められることもあります。

 

<作成する書類>

・申立書

・当事者等目録

・遺産目録

・相続関係図

・申立ての実情

 

<集める書類>

・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本などすべて

・その他、相続人の確定に必要な戸籍謄本や除籍謄本など

・相続人全員の現在の戸籍謄本

・被相続人の除票または戸籍の附票

・相続人全員の住民票

 

<その他、遺産の内容によって必要となる書類>

・不動産:登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産税評価証明書

・預貯金:通帳または残高証明書

・有価証券(株式や投資信託など):残高証明書

・自動車:車検証または運輸支局等が発行する登録事項証明書

 

<その他、ある場合に必要となる書類>

・相続税申告書の写し

・遺言書の写し

 

<費用に関するもの>

・収入印紙:被相続人1名あたり1,200円

・郵便切手:申立先の家庭裁判所に確認

 

なお、このうち「申立書」は相手方に通知されることとなるため、相手方に知られたくない連絡先などを記載しないよう注意が必要です。遺産分割調停の申し立てには多くの書類が必要となり、自分ですべてを用意することは容易ではないでしょう。弁護士へ依頼する場合は、必要書類の収集や作成についてもサポートを受けることが可能です。

 

遺産分割調停を申し立てる

管轄が確認でき必要書類も揃ったら、管轄の家庭裁判所に申し立てを行います。遺産分割調停の申し立ては郵送で行うこともできますが、弁護士へ依頼せず自分で行う場合は、可能な限り家庭裁判所に直接持ち込むと安心です。

 

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