語彙力を高めるには「音読」が効果的
質が高い語彙を数多く獲得するためには、他の人の語彙力に学ぶことが効率良く、効果的です。ただし、注意点があります。
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①語彙力が高い人の言葉に耳を傾け、「理解してもらう」ための手短で明確な伝え方を体感する。しかし、「理解する」側の自分が、「わかった」「何だ、そうか」といった耳学問程度の集中力では、聞き間違い、覚え間違い、使い方の間違いをしかねません。
②優れた語彙力によって磨き上げられた至言の宝庫のような本は、わかりやすいこともあり読み飛ばしてしまいがちです。自分なりに噛みくだき、咀嚼し、消化してはじめて自身の成長の資源となり栄養となりますが、丸呑みや早食いは逆効果です。
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いずれの場合も受け身であることが、問題点となるのです。
語彙力が高い人の伝え方から学ぶ際には、耳から入った言葉を自分の脳で受け止め、それを自分の発言に変換することで咀嚼が可能です。上司から指示を受けたら「〇〇を〇〇ですね。〇〇の確認のためですね」と復唱を心がけましょう。意外に思い込みや浅い理解で間違っていることもあります。また用語や言葉、立場の違いからの発言の仕方に問題があれば指摘を得られます。語彙のミスを減らし、正確な学びを助けてくれるでしょう。
本を読む際、目で追うだけの「黙読」だけでは、視覚上の把握や意識上での理解であり、他者とのコミュニケーションに必要な言葉の獲得とはズレがあります。正確に話せるか、確実に伝わるかを自己チェックするには「音読」が効果的です。
江戸時代、日本では子どもでも識字率が高く、それは寺小屋での学習効果によるものだと言われています。学び方は漢文にひらがなのふりがなをそえた教科書の音読でした。日常会話を文字化する能力ではなく、商売の言葉や作法の心得などを文字で学び、成長の資源とする学習です。未知の知識を視覚と音で捉え、くり返し咀嚼し、理解し、栄養としたのです。
現在の生活の中で、常に音読をするのは難しいでしょう。おすすめは小説やビジネス書を音読してくれる配信サービスの利用です。高い語彙力を持つ著者の言葉を、優れた話者による正確な伝え方で受け止めることができます。
可能であれば、自分で音読したものを録音し、通勤時や移動の際にその音声を聞き直すのも効果的です。自分の声なのに、自分でもわかりにくい部分に気づくと、素直に直したいと思えるでしょう。自己鍛錬の意識も身につきます。
【ポイント】
●他人の語彙力から学ぶのは効果的。しかし学び方には注意。
●自分の「理解する」が正確かどうかを確かめるには、耳で聞く際には「復唱」し、本を読む際には「音読」が効果的。
●自分の音読を自分で聞いてチェックすることで学習効果は高まる。
【監修】山口 謡司
大東文化大学名誉教授、平成国際大学新学部設置準備室学術顧問
1963年、長崎県に生まれる。フランス国立社会科学高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経る。 著書にはベストセラー『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)をはじめ、『文豪の凄い語彙力』『一字違いの語彙力』『頭のいい子に育つ0歳からの親子で音読』『ステップアップ0歳音読』『いい子が生まれる 胎教音読』、監修に『頭のいい一級の語彙力集成』(以上、さくら舎)などがある。
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