(※写真はイメージです/PIXTA)

お寺には税金がかからない、そんなイメージから「坊主丸儲け」という言葉が使われることも。しかし、お寺を始めとした宗教法人にも税務調査はやってきます。本記事では、宗教法人の税務調査について木戸真智子税理士が解説します。

宗教法人ならではの給料形態

税務調査というのはまずはなんらかの調査対象があったうえで調査に来るものです。そのため、一般的に非課税とされる宗教法人でも課税される税目に対して税務調査に来ることは多いです。ここでいう「課税される税目」とは、源泉所得税のことです。源泉所得税とは、給与などから差し引かれる税金なので、当然、宗教法人で働いている人に対してお給料を支払えば、税金が課税されます。結果として、人件費に対する税務調査が中心となることも多くあります。

 

お給料に対しての税金であれば、なにも間違いや不正が起きにくいのでは?と思われるかもしれません。しかし、宗教法人にはならではの給料形態があります。

 

それは、行事の際のお手伝いに対するお給料です。お手伝いだからお礼として〇万円というように渡した場合、源泉所得税が未納になってしまうこともあり得ます。

 

お給料というと、月額のイメージがありますが、日額での計算もあります。よくある短期バイトも同じですね。日額のお給料の計算方法は月額とは別になっています。

 

たとえば、行事で1日お手伝いを近所の人にお願いしたとします。そのお手伝いの一日の金額が1万円だった場合、そのまま1万円渡していいかというとそうではありません。ここに対しても27円の源泉所得税を徴収する必要があるのです。

 

しかし、1万円支払うために27円差し引いて9,973円を支払うのは煩わしいでしょう。きっちりした金額で支払いたい場合には、額面を1万27円にして、1万27円から27円の源泉所得税を差し引く形にすればよいのです。そして、宗教法人の帳簿では1万27円のお給料を支払ったという形で記帳して、源泉所得税を納税するということになります。

 

これが何人も、何年も徴収が抜けていたとしたら、結構な金額になってしまうことは容易に想像がつくでしょう。そして、このような継続的な取引については、税務調査は通常3年ですが、5年さかのぼることも。そうすると、5年分の追徴課税ということになるのです。このように宗教法人には特有の事情があるのです。

 

ここで重要となるのが帳簿の存在です。宗教法人は現金の出入りが多くあります。これらを管理するのは、帳簿になります。そのため帳簿をきっちりつける必要があるのですが、杜撰に管理していると税務調査で重加算税となってしまう可能性が高まります。

 

宗教法人の現金の出入りには、お布施、お車代、御膳料といったものがあります。これらは、住職に直接お渡しするというシチュエーションも多くあるでしょう。そしてこれが税務調査で狙われるのです。

 

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