父「同居してくれた長男に財産の大半を渡したい」→二男「おれには遺留分がある!」…相続で子どもたちを揉めさせない遺言書の中身【弁護士が解説】

父「同居してくれた長男に財産の大半を渡したい」→二男「おれには遺留分がある!」…相続で子どもたちを揉めさせない遺言書の中身【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書を作成する際には、遺留分に注意が必要です。もし、相続人の遺留分を侵害するような遺言書を作成した場合、遺言書と遺留分はどちらが優先されるのでしょうか? 本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、遺言書と遺留分の関係や遺留分トラブルを防ぐための事前対策について解説します。

「遺言書」とは?

遺言書とは、自分の死後における自分の財産の行き先などについて、生前に指定しておくための書類のことです。遺言書の種類や方式は民法で定められており、使用されている遺言書の形式としては、主に次の2つが挙げられます。

 

・自筆証書遺言:遺言者が全文を自書する遺言書
・公正証書遺言:公証人と2名の証人の面前で作成する遺言書

 

遺言書は、原則として遺言者の自由に作成することができ、親族以外に財産を渡す内容の遺言書などを作成することも可能です。また、作成にあたって、亡くなった場合に相続人となる予定の人(「推定相続人」といいます)などの承諾を得る必要はありません。

遺言書と遺留分はどちらが優先?

遺留分とは、亡くなった人(「被相続人」といいます)の子や配偶者など一定の相続人に保証された、相続での取り分のことです。では、遺留分を侵害した遺言書は無効となるのでしょうか? 遺言書と遺留分との関係について解説します。

 

遺留分を侵害した遺言書も有効

遺留分を侵害する内容であるからといって、遺言書が無効になるわけではありません。

 

たとえば、法定相続人である子がいるにもかかわらず、友人Aに全財産を遺贈する内容の遺言書を作成した場合であっても、遺言書にほかの問題がない限り、この遺言書は有効です。

 

遺留分を侵害する遺言書は「遺留分侵害額請求」の対象に

遺留分を侵害する内容の遺言書であっても有効であるとはいえ、このような遺言書は遺留分侵害額請求の対象となります。遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分相当額の金銭を支払うよう、遺言などで財産を多く受け取った相手に対して請求することです。上の例では、被相続人の子から友人Aに対して、遺留分侵害額請求がされる可能性があるでしょう。遺留分侵害額請求がされると、友人Aは被相続人の子に対して、侵害した遺留分相当額の金銭を支払う必要が生じます。

 

なお、遺留分の権利は、遺留分侵害額請求がなされてはじめて発生するものです。そのため、仮に被相続人の子が遺留分侵害額請求をしなければ、友人Aは被相続人の子に対して金銭を支払う必要はありません。

 

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