父「同居してくれた長男に財産の大半を渡したい」→二男「おれには遺留分がある!」…相続で子どもたちを揉めさせない遺言書の中身【弁護士が解説】

父「同居してくれた長男に財産の大半を渡したい」→二男「おれには遺留分がある!」…相続で子どもたちを揉めさせない遺言書の中身【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書を作成する際には、遺留分に注意が必要です。もし、相続人の遺留分を侵害するような遺言書を作成した場合、遺言書と遺留分はどちらが優先されるのでしょうか? 本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、遺言書と遺留分の関係や遺留分トラブルを防ぐための事前対策について解説します。

遺留分請求の時効

遺留分を侵害する内容の遺言書があった場合において、遺留分侵害額請求はいつまでに行うべきなのでしょうか? 遺留分侵害額請求の時効は、次のとおりです。なお、遺留分侵害額請求をする方法は、法律では特に定められていません。しかし、期限内に請求したことの証拠を残すため、実務では内容証明郵便で行うことが一般的です。

 

遺留分侵害額請求の時効は原則として1年

遺留分侵害額請求をする権利は、次の事実を両方知った時点から1年が経過すると、時効によって消滅します。

 

・相続が開始したこと(=被相続人が亡くなったこと)
・遺留分を侵害する遺贈(遺言書)などがあったこと

 

亡くなった時点から1年ではなく、これらの事実を知ってから1年とされていますので、誤解のないように注意しましょう。たとえば、亡くなってから5年後に亡くなったことや遺留分を侵害する遺言書の存在を知った場合には、そこから1年間は遺留分侵害額請求をすることができるということです。

 

相続開始から10年経つと請求権が消滅する

相続が起きたことや遺言書の存在を知らないままであったとしても、相続開始から10年が経過すると、もはや遺留分侵害額請求をすることはできません。亡くなってからあまりにも時間が経ってからの遺留分侵害額請求を認めてしまうと、経済的な安定性が損なわれてしまいかねないためです。

遺留分トラブルを避ける遺言書作成のポイント

遺言書を作成する際には、後の遺留分トラブルを避けるよう注意する必要があります。遺留分トラブルを避けるための遺言書作成のポイントは、次のとおりです。

 

遺留分を侵害しない内容で作成する

遺留分トラブルを避けるためにもっとも効果的な方法は、そもそも遺留分を侵害する内容の遺言書を作成しないことです。

 

2019年7月1日に施行された改正民法により、2022年8月現在、遺留分請求は金銭請求が原則とされています。そのため、自社株や不動産など容易に換金できない財産が大半を占める場合には、特に注意しなければなりません。

 

なぜなら、この場合において遺留分を侵害する内容の遺言書を遺してしまうと、遺留分侵害額請求されても支払うべき金銭がすぐに用意できず、財産を多く渡した相手をむしろ困らせてしまう可能性があるためです。したがって、安易に遺留分を侵害した遺言書を作成するのではなく、遺留分を侵害しない内容で目的を達成できないかどうか、あらかじめ検討することをおすすめします。

 

たとえば、遺産の大半が自社株である場合には、議決権を制限した種類株式を活用することなどで、会社の運営へ影響なく、遺留分相当の一部の株式を後継者に渡すなどの対策を検討できるでしょう。また、信託を活用する方法も検討できます。

 

しかし、このような対策をご自身のみで検討することは、容易ではありません。あらかじめ弁護士へ相談をして、事情に合った最適な対策を練ったうえで遺言書を作成することをおすすめします。

 

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※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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