「会社を辞める・辞めない」を判断するための絶対基準
周囲から情報遮断されて毎日会社と自宅の往復という生活にはまり込むと、いわゆる「ゆでガエル」化状態になり、正常な判断ができなくなります。こうした状況に入る前に対応する必要があるのですが、「まだ大丈夫」「自分が弱いから」と自責の思いからどうしても頑張ってしまいがちです。
もちろん、その人が置かれた状況による部分が多分にあり一概には言えないのは確かですが、以下の基準だけは「絶対的な基準=公理」だと思っています。
それは「体を壊してまでやる仕事はない」です。
筆者も35歳の時に急性心筋梗塞を発症し、生死の境をさまよったことがあります。今思い起こすとその当時はこの公理が働いていませんでした。「まだ若いから少々の無理はきく」「少々体を壊しても今が頑張りどころ」という意識でした。
実は発症少し前には胸が締め付けられるような前兆はあったのですが、その時は仕事優先の気持ちが極めて強く、逆に「病気で倒れたら正々堂々と休めるのでラッキー」という感覚でした。
よく歌舞伎役者や舞台俳優による「舞台で死ねたら本望」的な発言を聞くことがありますが、そのスタンスを美化してはいけません。時任三郎がコマーシャルで「24時間戦えますか」と叫んでいた時代はとっくの昔、バブル崩壊とともに終わりました。
仕事で体を壊すのは〝勲章〟ではなく、取り返しのつかない一番貴重な自己資産の〝損傷〟であり〝破壊〟です。
「自分の体に目に見えるような不調・異常が現れたら我慢せずに(会社を辞める前に)まずは休みを取り、専門家の指示に従い躊躇なく治療のレールに乗ること」
体を壊してからでは遅いです。自分の身1つあれば人生100年時代の今、後からいくらでも挽回は可能です。
休職規程があれば、休職して体調回復につとめます。休職中は、通常の3分の2程度にはなりますが、健康保険から傷病手当金が支給されます。経済的にゼロになるわけではありません。
これからの時代は、自分の周囲に法律・医療・キャリアなど専門家のネットワークを形成することは、必須です。「いつもとどこかが違う」という少しの違和感でもすぐに相談することできる「かかりつけ医師」もそのネットワークの1つです。
会社を「辞めたい」エネルギーの変換のポイントとして、〝「会社を辞めたい」という思いをきっかけに、必ず1つの具体的な行動に落とし込み、確実に実行する〟ことがあります。
体調不良時は良いことではありませんが、これをきっかけに「かかりつけ医を確保する」という外部の専門家ネットワークをつくることができたことは不幸中の幸いとポジティブに考えるべきです。
筆者も35歳の時に心筋梗塞で倒れて以降、死ぬまで毎月1回は循環器の医師のところに通院する必要がありますが、常に専門家がついていると考えれば、それも長い目でみればセイフティーネットが確保できたと考えることができます。
もちろん、健康に留意して不調・異常が発生しないようにすることが第一番ですが、もし不調・異常が現れたら「いつでも舞台を変えることができるように準備しておくこと」が、セカンドキャリアの準備です。
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