60代になったらキャリアも終盤というのは、もはや昔の話。今や65~69歳の半分が働く時代になっています。ただし、60代からのセカンドキャリアは50代までと考え方を少し変える必要があるといいます。本記事では、キャリアのプロである木村勝氏による著書『会社を辞めたいと思った時に読む セカンドキャリアの見つけ方』(ビジネス教育出版社)から一部抜粋し、60代からのセカンドキャリアについてご紹介していきます。
60代からのセカンドキャリアは「細く・長く・複線化」が基本
60代からのセカンドキャリアは、「細く・長く・複線化」が基本コンセプトです。決して「ここで博打を打って一旗あげよう」などと考えてはいけません。退職金を全額つぎ込むようなセカンドキャリアは60代にとってはタブーです。「高さ」ではなく、「面積」で収支を取ることを考えます。
もう1つの60代からのセカンドキャリア推進の基本コンセプトは、「複線化」です。何も内容や仕事先を1つに絞る必要はありません。また、1つの働き方にこだわる必要もなく、業務内容やお客様のニーズにマッチした働き方を選択すればいいのです。
筆者のケースですが、人事業務を個人事業主とサポートさせていただく際には、業務委託契約を結んで働きます。日数限定でパートタイム的に働く際には、非常勤のパートタイマーとして雇用契約を結んで働いています。状況に応じて仕事の形態を選べばよく、何も独立したから必ず業務委託契約や請負契約で働かなければならないなどと硬直的に考える必要はないのです。
長年、正規雇用フルタイムで会社勤めをしていると複数の会社で働くことはできないという感覚を持ちがちですが、これは長年会社の兼業禁止規定が頭に染みついているからです。
60代からのセカンドキャリアでは、3つのマルチ化「①経験・知識・スキルのマルチ化、②人脈のマルチ化、③収入源のマルチ化」のうち、特に③の「収入源のマルチ化」を意識して推進していきます。
小さな仕事を数多くこなすことで収入源も分散化され、時に経過とともにそこから枝葉のようにネットワークも広がります。初めはどうしても低空飛行ですが、続けていくことで徐々に収入も積みあがっていきます。
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>
人事総務インディペンデント・コントラクター(独立業務請負人)、ライフデザイン・アドバイザー(ビューティフル・エージング協会認定)、電気通信大学特任講師(2014年~)、行政書士(杉並支部所属)
1961年東京板橋区生まれ。
一橋大学社会学部卒業後、1984年日産自動車に新卒で入社、長年人事畑を歩み続ける。2006年社命により日産自動車を退職し、全員が人事のプロ集団という関連会社に転籍。中高年のセカンドキャリアをサポートする部門の部長としてセカンドキャリア支援業務(出向・転籍・転職等)に従事。2011年所属する会社がM&Aにより外資系企業に買収され、それを契機に真剣に自分のセカンドキャリアを考え始める。
2014年一度の転職経験のない状態から独立し、「リスタートサポート木村勝事務所」を開設。特定人材紹介会社に所属することなく、ニュートラルな立場でキャリア相談に精力的に取り組み、自分の会社の人事部には相談できないサラリーマンのキャリアの悩みに対して個人面談やセミナーなどを通じて支援している。また、30年間で培った知見をもとに独立後も企業内人事部に籍を置き、面接、研修などの人事業務サポートや日々発生する人事課題に対応する現役の人事マン(独立業務請負人)の顔を持つ。
著書に、『働けるうちは働きたい人のためのキャリアの教科書』(朝日新聞出版)、『知らないと後悔する定年後の働き方』(フォレスト出版)、『ミドルシニアのための日本版ライフシフト戦略』(WAVE出版、共著)、『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版)がある。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「会社を辞めたい」と思ったときに取るべき行動を徹底解説