50代の会社員に訪れる大きな節目、それが「役職定年」と「定年」です。給与は50代前半をピークにその後は下がるというデータもあり、50代後半になると仕事へのモチベーションを失ってしまう人が多いのです。キャリアのプロである木村勝氏は、「50代からは働いて得られる報酬に対する考え方を変えるべき」と助言します。本記事では、木村勝氏による著書『会社を辞めたいと思った時に読む セカンドキャリアの見つけ方』(ビジネス教育出版社)から一部抜粋し、その内容をご紹介していきます。
50代特有のキャリアの節目…どう乗り越える?
新卒一括採用で入社した新入社員は、全員横並びで会社の出世コースに参加し、「収入」と「役職」を働くモチベーションとして頑張ってきました。この入社以来働くモチベーションとなっていた「収入」と「役職」という目標が無くなるのが、50代特有のキャリアイベントである「役職定年」(管理職)と「定年」という2回のタイミングです。
正社員の賃金カーブを見ても給与のピークは50代前半で、55歳を過ぎると下がり始めます。また、役職定年制により、55歳で課長職から、58歳で部長職から降りるケースが多くなってきます[図表1]。
人生100年・80歳現役時代、役職定年の55歳から25年、定年の60歳から20年間、これから先が長いのですが、この2回(「役職定年」「定年再雇用」)のタイミングをシニア社員は会社人生におけるキャリアのゴールと考えてしまい、モチベーションを下げてしまうのです。
2018年11月に発表された一般社団法人定年後研究所とニッセイ基礎研究所の試算によると、55歳以降の世代が役職定年でやる気を失うために生じる経済的な損失は年に約1兆5,000億円にのぼるという報告がなされています。一企業だけの問題にとどまらず日本経済にとっても大きな課題です。
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>
人事総務インディペンデント・コントラクター(独立業務請負人)、ライフデザイン・アドバイザー(ビューティフル・エージング協会認定)、電気通信大学特任講師(2014年~)、行政書士(杉並支部所属)
1961年東京板橋区生まれ。
一橋大学社会学部卒業後、1984年日産自動車に新卒で入社、長年人事畑を歩み続ける。2006年社命により日産自動車を退職し、全員が人事のプロ集団という関連会社に転籍。中高年のセカンドキャリアをサポートする部門の部長としてセカンドキャリア支援業務(出向・転籍・転職等)に従事。2011年所属する会社がM&Aにより外資系企業に買収され、それを契機に真剣に自分のセカンドキャリアを考え始める。
2014年一度の転職経験のない状態から独立し、「リスタートサポート木村勝事務所」を開設。特定人材紹介会社に所属することなく、ニュートラルな立場でキャリア相談に精力的に取り組み、自分の会社の人事部には相談できないサラリーマンのキャリアの悩みに対して個人面談やセミナーなどを通じて支援している。また、30年間で培った知見をもとに独立後も企業内人事部に籍を置き、面接、研修などの人事業務サポートや日々発生する人事課題に対応する現役の人事マン(独立業務請負人)の顔を持つ。
著書に、『働けるうちは働きたい人のためのキャリアの教科書』(朝日新聞出版)、『知らないと後悔する定年後の働き方』(フォレスト出版)、『ミドルシニアのための日本版ライフシフト戦略』(WAVE出版、共著)、『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版)がある。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「会社を辞めたい」と思ったときに取るべき行動を徹底解説