前週の米ドル/円の振り返り
為替市場では、前週末に、⽶財務省が⽇本を為替操作監視リストに追加したことを受け、政府・⽇銀が円買いの為替介⼊に踏み切りにくいとの⾒⽅が広がりました。
さらに、ボウマンFRB理事が「まだ政策⾦利引き下げに適切な地点にはない」と述べ、⽶利下げ観測が後退。そして、豪州で公表された5⽉のCPIが、市場予想を上回り、豪ドルに対する円売りの動きが、⽶ドルにも波及(円安⽶ドル⾼が進⾏)したことなどから、円売り⽶ドル買いが優勢となりました。
28⽇には、1⽶ドル=161.07円と、21⽇(159.10円)に⽐べ、円安⽶ドル⾼となりました(図表1)。
7月初週に注目したい経済指標
今週は、⽶国で公表される6⽉の雇⽤統計などに注⽬しています(図表2)。
6⽉の⽶雇⽤統計では、⾮農業部⾨雇⽤者数が前⽉差+18.8万⼈と、増加ペースが急加速した5⽉(同+27.2万⼈)から巡航速度とされる+20万⼈をやや下回るものの、労働市場の底堅さが維持されるとみられます(⾮農業部⾨雇⽤者数の推移は図表3参照)。
6⽉のFOMC後の記者会⾒でパウエルFRB議⻑は、「労働市場は2年前には加熱気味だったが、徐々に需給バランスが取れてきた。供給サイドは、労働参加率の回復や移⺠受け⼊れによってかなり増加した」と、移⺠増加が堅調な雇⽤を下⽀えしているとの考えを⽰しており、引き続き、移⺠増加が雇⽤を下⽀えする構図が続くとみられます。
他⽅、パウエルFRB議⻑は「利下げの決定にはいくつかの理由がある」と指摘したうえで、「雇⽤が予想外に弱含めば、FRBは対応する⽤意がある」とも述べています。
6⽉の失業率は、4.0%と5⽉から横ばいとなることが予想されているものの、前述の通りFRB⾼官が⽰唆するように、今後、労働市場が急速に悪化(失業率が急上昇)し、景気後退に陥る可能性がある点には、留意が必要です(図表4)。
失業率から景気後退の可能性を推し量るサーム・ルール※というものがあります。現状、失業率の3ヵ月移動平均(3.9%)と過去12か⽉の最低値(3.4%)の差は0.4%と、景気後退⼊りの⽬安とされる0.5%に近づいていることから、今後の展開には注意が必要です。
※ 失業率の3ヵ月移動平均が過去12ヵ月の最低値から0.5%上昇したときに景気後退が始まるとする法則
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが注目…7月初週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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