前週の米ドル/円の振り返り
為替市場では、前週末に開催された⽶⼤統領選挙の第1回討論会で、インフレ再燃リスクを内包する政策を掲げるトランプ候補が優勢との⾒⽅が⾼まったことで、1⽇は、⽇⽶⾦利差の拡⼤を意識した、円売り⽶ドル買いが優勢となり、1⽶ドル=161円台後半まで円安が進⾏しました。
その後は、6⽉のISM⾮製造業景況指数などの低調さを背景に、⽶利下げ観測が⾼まったことを受け、円⾼が進⾏する場⾯があったものの、⽇⽶⾦利差が⼤きく開いた状況に変わりはないとの⾒⽅が根強く、⼀⽅的な円買い⽶ドル売りが進む展開とはなりませんでした。
5⽇には1⽶ドル=161.17円と6⽉28⽇(161.07円)に⽐べわずかに円安⽶ドル⾼となりました(図表1)。
最近の円安の背景として、⽶財務省が6⽉20⽇に外国為替報告書で、⽇本を「監視リスト」に加えたことから、為替介⼊に踏み切りにくい(介⼊に踏み切ったとしても、効果は⼀時的)との⾒⽅に加え、⽶国⼤統領選挙でのトランプ候補の勝利が、財政⾚字の拡⼤とインフレ再燃(⽶⾦利上昇)につながるとの思惑などが、市場ではささやかれています。
⽇⽶⾦利差が縮⼩しているにも関わらず、円安が進⾏したのは投機筋による円売りが続いたことが⼤きかったとみられます。 シカゴ通貨先物市場IMMにおける、投機筋による円のポジション※3(持ち⾼)をみると、ネットの円ショートのポジションは、6⽉25⽇締めの集計で17.4万枚と、円売り・ドル買いポジションに⼤きく傾いています(図表2)。
※3 IMMポジションについて ⽶国のシカゴマーカンタイル取引所(CME)に上場している「IMM通貨先物」のポジション動向のことです。為替市場の参加者の間で特に注⽬されるのが、Non-Commercialと呼 ばれる⾮商業部⾨(投機筋)の数値です。
これは為替介⼊したとされる時期(4⽉29⽇、5⽉2⽇)の18万枚に匹敵する⽔準になります。6⽉26⽇、神⽥財務官が「最近の急速な円安の進⾏には、深刻な懸念を持っている。⾏き過ぎた動きに対しては、必要な対応をとる」と述べているだけに、市場の関⼼は為替介⼊のタイミングに移っています。