平成は「語学」のため、令和は「稼ぐ」ため…ワーホリが爆発的に増加した背景にある「目的の変化」

平成は「語学」のため、令和は「稼ぐ」ため…ワーホリが爆発的に増加した背景にある「目的の変化」
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では40年ほどの歴史がある「ワーホリ制度」。以前と比べてワーホリに参加する若者が大きく増加していますが、その背景にはどのような事情があるのでしょうか。本記事では『安いニッポンからワーホリ!最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(上阪徹著:東洋経済新報社)より一部抜粋・再編集し、留学エージェント「ワールドアベニュー社」の社長である松久保健太氏へのインタビューから、令和のワーホリの姿に迫ります。

「令和のワーホリ」の姿とは

2010年以降も、オーストラリアのワーホリは同じレベルの規模で推移していく。しかし、じわじわと状況が変わり始めるのは、オーストラリアが順調に経済成長を遂げ、賃金をどんどん上げ始めたことだ。

 

また、かつては強さを誇った円が、どんどんその価値を下げるようになっていった。対ドルだけではない。対ユーロ、対オーストラリアドルに対してもだ。

 

すでに新型コロナの前から、そのことに気づいていた若者たちがいた。松久保さんは語る。

 

「日本ではアルバイトといえば、時給1,000円くらいが普通ですよね。ところが、オーストラリアでは2,000円近くもらえたわけです。物価は今ほど高くなかったですから、現地でかなり稼いで貯めていた人はすでにたくさんいました。ワーホリからそのまま学生ビザに切り替えて、ずっと働いている人もいましたね」

 

これこそ「令和のワーホリ」である。

 

そして新型コロナがやってきて、入国が一気に制限された。そのため「海外に行ってもいいかな」という人が、数年にわたってプールされていった。

 

これが爆発しているのが、今である。テレビでの「稼げる」報道も、それを大きく後押しした。また、現地から直接、SNSで情報が得られるのも「令和のワーホリ」の大きな特徴だ。だが、松久保さんは心配もしている。

 

「仕事が見つけにくくなっていますが、行動力のある若者たちはそんなに困っていないんです。問題なのは、行ったはいいものの、無計画過ぎて困っている人が今、出てきていることです」

 

蓄えも持たず、家も用意せず、ツテも仕事のあてもない、英語力もない。留学エージェントも使わず、語学学校にも行かないので、相談するところも情報源もない。

 

「それで現地でうまくいかない、とネガティブに発信されることは、ワーホリにとって、とてももったいないことです。行くのであれば、やはりそれなりの準備をしてほしい、ということなんです」

 

 

上阪 徹

ブックライター
 

※本記事は『安いニッポンからワーホリ!最低自給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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※本連載は、上阪徹氏の著書『安いニッポンからワーホリ!最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

安いニッポンからワーホリ!最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち

安いニッポンからワーホリ!最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち

上阪 徹

東洋経済新報社

・実働6時間のブルーベリー摘みで月収50万円。 ・カフェでのアルバイト収入は週給10万円。 ・残業なしの介護アシスタントで月収80万円。 オーストラリア、カナダ、ニュージーランド……。コロナ禍が明けた今、日本を飛び…

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