(※写真はイメージです/PIXTA)

税金や社会保険料のみならず、電気料金の値上げといった“ステルス増税”から、所得格差は広がるばかりです。こうしたなか、本屋では「資産運用」に関する本が平積みにされるなど、個人投資家の投資意欲が高まっています。その背景にはいったいなにがあるのか、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏が解説します。

働きながらFIREに近づくための資産運用手法

本業の仕事も続けながら、週末は好きなことをやったり、自己研鑽をしたりしながら、「ある程度、分散をしつつ、高いリターンを得る」にはどうすればよいか。

 

筆者は、「アクティブ運用の投資信託が、その役割を担うべき」と感じています。

 

「べき」としたのは、すべてのアクティブ運用の投資信託が、それができるわけではないためです。金融市場は「ゼロ・サム」ですから、負ける人が存在することで、勝てる人は存在できます。

 

他方で、確率で考えると(=偶然と能力はランダムに分布しているはずですから)、高い運用成績を残すことができる個人投資家が存在するということは、高い運用成績を残すことができる、投資信託のポートフォリオ・マネージャーが存在するということを意味します。

 

偶然と能力がランダムに分布しているにもかかわらず、個人だと高い運用成績が出せるが、プロである、投資信託のポートフォリオ・マネージャーだとそれができないという事実があるとすれば、その原因として、たとえば、次の点が挙げられるでしょう。

 

1.実際には運用に向かない。あるいは、運用の能力を引き上げるための、アドバイザーやトレーニングなどのサポートがない

 

2.自己資金の少なくない部分を自分が運用するファンドに入れておらず、「身を賭していない」

 

3.(運用ガイドラインの制約で)ポートフォリオの構成をインデックスの構成から大きくかい離させることができない

 

4.(上場企業であり、その経営陣が『四半期主義』に陥っている場合)比較的安定した運用が求められ、ポートフォリオの構成をインデックスの構成から大きくかい離させることができない

 

5.(たとえ上場していなくても、あるいは、経営陣が『四半期主義』に陥っていなくとも)ポートフォリオ・マネージャーが、①インデックスに大きく負けてしまうリスクを恐れて、もしくは、②運用当初のアウトパフォーマンスを死守するために、ポートフォリオの構成をインデックスの構成から大きくかい離させることができない

 

といった点です。

 

こうした投資信託の場合、保有期間がたとえ長期間だとしても、パフォーマンスがインデックスよりも劣る場合があるでしょう。

 

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