ワーホリを充実させるためには「目的」が何より大事
2023年3月末でワーホリの期間は過ぎたが、まだまだ国には必要な人手が足りないと判断したオーストラリア政府が「パンデミックビザ」を出した。ワーホリで来ていた若者たちも雇用先が決まっていれば、そのビザで最長1年の滞在延長が可能になったのだ。
そのビザを使い、藤田さんは、新しいチャレンジに挑んだ。
「ワーホリに来た目的は英語、もっといえば医療現場で使う英語だったんです。ただ、老人ホームだとどうしても身の回りの介助が中心になります。病名や薬に触れたりする機会や看護師さんとやりとりする機会も少ない。それで、やっぱり病院で働きたいと思うようになったんです」
持っているアシスタントナースの資格では、介護の仕事しかできない。しかし、それでも「病院で働きたい」という思いをあきらめなかった。
「日本で看護師をしていたという経験をアピールしながら、どうにか働かせてもらえないか、と就活をしたんです。50ほどの病院に履歴書を送ったら、会ってもらえる病院があって。まさに看護師の補助として働かせてもらえたんです」
実は総収入は下がった。それでも、目標だった医療現場で英語を使う日々が実現した。今は毎日、必死に医療英語を学びながら日々を過ごしている。
「私はもともとシャイで、人見知りで、外国人なんてとても話せない、というタイプだったんです」
日本にいるときにオンラインで英語を学んだりして、ずいぶん変わったというが、海外に出てさらに変わった。
「誰も知らない人ばかりの中でも、自分次第でどうにでもなれるんだ、とわかったんです。それならもう、本当に動いたもの勝ちだな、と」
ワーホリは自分でお金を貯めてやってきて、時間も終わりが区切られている。1分1秒も惜しい、と思ったという。
「大事なことは、目的です。自分の将来にどんなふうに活かしたいのか、という目的があれば、楽しいし、がんばれる。稼ぎながら、得られるものも大きくなる。目的を定めてきたときに、ワーホリはより充実すると思います」
そして藤田さんは、オーストラリアで見つけた自らの夢を、実現することが決まっている。ワーホリが、まさに人生を変えたのだ。
上阪 徹
ブックライター
※本記事は『安いニッポンからワーホリ!最低自給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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