年収はそのままで「社会保険料」だけ削減!?…手取りの給与額を増やす“節税テクニック”【税理士・公認会計士が伝授】

年収はそのままで「社会保険料」だけ削減!?…手取りの給与額を増やす“節税テクニック”【税理士・公認会計士が伝授】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者にとって頭を悩ませる問題のひとつに、「社会保険料」があります。企業の社会保障負担は年々増えており、特に創業したばかりの中小企業にとっては、なるべく負担を減らしたいところです。そこで、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏が、経営者も従業員も得をする「社会保険料の削減方法」を紹介します。

「社宅制度」も社会保険料削減に効果的

5.借り上げ社宅を活用する

黒「5つ目の節税方法は、『借り上げ社宅を活用する』というものです。従業員が賃貸マンションに住んでいる場合、借り上げ社宅に切り替えることで社会保険料を削減することができます」

 

――これは従業員の福利厚生としてもいいですよね。

 

黒「そうですね。手順としては、賃貸契約を個人から法人契約に切り替え、会社で家賃を支払います。

 

ただし、家賃全額を会社が負担してしまうと社会保険料削減効果がないので、従業員にもある程度負担してもらう必要があります」

 

――この場合、自己負担額はどうやって決めればいいのでしょうか?

 

黒「『現物給与価額一覧表』というものがあり、こちらから計算できます。たとえば東京都の場合、「住宅の利益の額」は、1帖につき2,830円です。

 

マンションの居室部分が30帖あるとすると、

 

30帖×住宅の利益の額2,830円=8万4,900円

 

が現物給与の額となり、この額を自己負担してもらえば社宅家賃に社会保険料がかかりません。

 

もし従業員の負担分がこの金額に満たない(たとえば上記の例で5万円しか負担していないような)場合、その満たしていない部分は社会保険料算定の基準となる報酬額に含まれます。つまり、社会保険料の対象になってしまいます」

 

――なるほど。その額を従業員に負担してもらえば、社会保険料の計算から外れるということですね。

 

黒「はい。そして、マンションのもともとの家賃がたとえば15万円だとしたら、「家賃」と「自己負担分」の「差額分」(この場合、約6万5,000円)を額面給与から引き下げれば、標準報酬月額の等級も下がり、社会保険料が削減できることになります」

ルール変更を行う場合、必ず従業員に周知を

――社会保険料削減の方法を5つ紹介していただきましたが、注意点はありますか?

 

黒「はい、2つあります。まず、給与改定月の変更や、入退社日程の調整などのルール変更を行う場合は、社員・役員に説明して同意を得ることが必要です。

 

たとえば退職日を10月30日にした場合、10月分は自分で国民年金に加入することになります。後々トラブルにならないために、きちんと説明するようにしてください。

 

そのほか、社会保険料削減で年金受給額が減額する可能性もあることも、きちんと伝えましょう」

 

――なるほど。その分負担は減って手残りは増えるはずなので、削減によるメリット・デメリット両方を理解してもらうのがよさそうですね。

 

黒「社会保険料は中小企業にとって本当に負担が重いので、節税と同じく適正な範囲でのコストカットは必要ですが、従業員に理解してもらって進めることが重要、ということです」

 

<<社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】の全編動画はコチラ>>

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

 

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※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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