(※写真はイメージです/PIXTA)

親が亡くなることによって発生する相続は多くの人が経験することでしょう。「うちの親は大した資産もないから大丈夫」と油断しないほうがいいかもしれません。一般家庭であっても相続の発生後、税務調査の対象となる可能性は少なくはないのです。本記事では、52歳サラリーマンのAさんの事例とともに、税務調査の実態について木戸真智子税理士が解説します。

税務調査で指摘されたのは…

そんなときにAさんにも税務調査が来ることになりました。なんと申告漏れがあるというのです。調査官の説明は下記のような内容でした。

 

Aさんの父親は商店をしていましたが、高齢になってからは、付き合い程度の商売のみ。本当にごくわずかな売上のやり取りしかありませんでした。父親が他界してからは、母親が父親の財産をほとんど引き継いでいただめ、商店をしている会社の株式も相続していました。

 

そして今回、母親が亡くなって、これらを相続したのがAさんなのですが、その会社において、もともと父親が会社に貸し付けていた会社にとっては役員借入金の申告が漏れているというものでした。

 

Aさんにとっては、なんのことかわかりませんでした。会社にとっては負債で、しかも父親の借入金がなぜ?と状況がつかめないので、調査官に確認をしました。

告げられた追徴課税額

実は、相続で引き継いだ会社において、亡くなった方の借入金があった場合にはそれも申告すべき相続財産になるということでした。

 

当初は父親の借入金でしたが、その後、母親が相続して、母親名義の借入金になり、それが今回Aさんが相続することになったということでした。ほとんど、取引も一部だった会社ですが、長年経営を続けてきたため、その借入金は1,300万円にもなっていました。

 

Aさんは、学生のときから、父親の商売の大変さを見てきて、自分には向かないから会社勤めをしようと考え、会社を継ごうとは思っていませんでした。

 

しかし、父親が長年守ってきた事業だったため、古くからのお付き合いだけは大事にと、母親もそこだけは細々と続けていたのでした。

 

Aさんが相続をしてからは、それもできなくなり、会社をそのままにしておくのもどうかと思いながらも、商店の整理をしながら、最低限の申告のみをしていただけで2年過ごしていました。そろそろ清算をしようということも考えていたところでもあったのです。

 

そのため、Aさんにとってこの会社は、どういう状況なのかもよくわからないまま、引き継いだという状態でした。母親も突然、体調を崩してしまったので、いろいろと聞けないままだったのです。

 

そして、この借入金も当然、会社が借りているといっても、返せるお金もありません。これに対して財産の申告漏れとなり、追徴課税は195万円となりました。

 

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