今回は、銀行融資を断った女性経営者の事例を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

10年前に融資を謝絶した銀行担当者が再び現れた・・・

ある女性経営者にお聞きした話です。

 

創業間もない頃、設備投資のために300万円の融資を銀行にお願いしたものの、「残念ながら、御社に融資することはできません」と、銀行担当者に断られたそうです。その後、必死の思いで資金を集めて投資を行い、事業を軌道に乗せることができたそうです。

 

その10年後、事業は拡大し、事務所も移転したところへ、なんとその銀行担当者が、「3000万円ほど借りていただけませんでしょうか?」と、訪問してきたのです。

 

事務所も変わっているためか、どうやら、その担当者は10年前のことを忘れている様子で、さらには、断られた時に同席していた経営パートナーである夫も、10年前の担当者とは気づかず、二人そろって平然と融資の打合せをしていたというのです。

銀行からの「借りてください」を一蹴した女性経営者

一目見て、

 

「10年前に融資を断ってきた、あの時の担当者だ!」

 

と気付いた女性経営者は、

 

「ここで会ったが10年目! あのウラミ、晴らさでか~!」

 

との思いでその打合せにつかつかと入り込み、

 

「実はウチの会社、〇〇の場所でも店をやってましてねぇ、今から10年前に、300万円の融資を断られたことがあるんですよ」

 

といったところ、その担当者の表情が、見る見るうちに変わっていったそうです。どうやら思い出したそうなのです。夫もその時点でようやく思い出したそうです。

 

「おたくは忘れてはるかもしれませんけどなぁ、ウチは忘れもしません・・・、アンタに断られたんですわ、おたくからは一切借りませんので、帰ってください!!!!」

 

と、一喝したそうです。

 

女性は情で経営をするといいますが、ウラミも情のひとつの形です。まさに、「女のウラミは怖い!」の一言です。

 

その銀行担当者にしても、銀行の判断を告げただけであって、担当者自身の判断で融資を断った、のではないはずです。

 

まぁ私にすれば、「その時に断られたから、銀行に反感を持つようになって、今となっては良かったんじゃないですか」と申し上げた次第なのです。

 

次回に続きます。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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