今年度から「新型コロナ一期生」が医療機関へ
この春、新たにZ世代を迎えた医療機関にとって1つのポイントになるのが、「新型コロナ一期生」の入職でしょう。ちょうど令和6年4月に医療機関に入職した新卒者は、四年制大学の場合、新型コロナの始まりとともに大学に入学した年次となります。
あこがれのキャンパス生活の多くをオンライン環境で過ごし、ラーニングマネジメントシステムなどを通じて指導を受けた彼らは、おそらく一般的に想像されるよりもはるかにデジタル化された空間のなかで学生時代を過ごしています。
そのため、どんなに設備のよく整った病院であっても、多かれ少なかれ「アナログ」にみえてしまうことが予想されます。
新卒者がスムーズに職場に入っていけるように指導する立場の上司や先輩職員の方は、こうしたデジタルに対する世代間の違いを意識したうえで、特に「アナログ」な業務でのサポートができるとよいでしょう。
まだペーパーレス化が行われていない業務では思わぬところでつまずいたり、ストレスを感じたりするケースもあるようです。
デジタルに対する世代間の違い
筆者の感覚値ではありますが、現時点におけるマネジメント層以上の看護師のなかで、「電子カルテしか経験のない方」はまだ1割程度だと思われます。
多くの方が従来の紙カルテから電子カルテへの移行を職場内で経験しているはずで、もともとアナログだったものがデジタル化するインパクトを実体験として持っています。
一方、Z世代からすると、タブレットがある環境で生まれ育っていて、物心ついたときにはWi-Fiを利用する生活に親しんでいます。
多くの病院の場合、彼らが過ごしてきた日常生活やキャンパスライフよりもデジタル化していない環境にありますので、こうした体験の違いによるギャップはやはり無視できず、院内にあるオンライン化されていないもの、アナログなものへの抵抗感は強いものがあります。
これはDXそのものではありませんが、たとえば「300~400字のテキストを作成する」という場面があったとしましょう。病院の中堅・ベテラン層であれば、ノートパソコンを起動してテキストを作成しようとする人が多いのに対して、Z世代であれば、スマートフォンだけで済ませようと考えるのが多数派でしょう。
まったく同じタスクにもかかわらず、世代間によって合理的なやり方は異なりますし、こうした前提をあらかじめ認知できていれば、お互いに調整しやすい部分もあるものと思います。
このようなICT全般に対する感性の違いを受け止めながら、ときには彼らのやり方に合わせたり、あるいは彼らにとって「古い」と感じられそうな業務内容については、彼らに届く言葉で説明を尽くしたりといったサポートがかなり重要といえます。
特に「アナログ」要素の残るものについては、「こういうものですからやってください」といった押し付けではなく、業務の目的やゴールイメージ、現状のおかれた状況(as is)と今後の方向性(to be)なども交えて説明すると、「共感」とまではいかなくとも、「理解」したうえで期待どおりの動きをしてくれます。
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