「面白そう」と「できそう」のマッチング
そこで筆者がキャリア指導を行うときには、学生を大きく2つのパターンにわけながら、「面白そう」を見つけさせています。それは「人間の相手をしたい人」と「コンピュータの相手をしたい人」という分類です。
人間を相手にすると、どうしても想定どおりにならないことがあります。この想定どおりにならないことが単純に「面白い」と感じる場合はよいのですが、ここにストレスを感じてしまう学生もいます。
一方で、コンピュータは正しく定義しないと動きませんが、正しく設定すれば指示どおりの動きを繰り返してくれます。こうした世界観に楽しさを感じたり、高い適性を示したりする場合もあるわけです。
こうしたパターンわけを手がかりにしながら、筆者も含めて「面白そう」を見つけていくサポートをしていますが、こればかりはあくまで主観の領域なので、本人の自主性や感性に任せています。
「面白そう」に加えて、もう1つ大事なのは「できそう」と感じてもらうことです。
「できそう」という気持ちは、さきほどのZ世代の低い自己効力感にも通じることなのですが、たとえば「〇〇さんはプログラミングに関心があるみたいだから、〇〇あたりの資格取得から始めてみては」「〇〇さんならすぐにビジネス会話ができるはず。ソリューションの提案・販売などが向いているのでは」といった言葉をかけます。
このように大学教員としてのキャリア指導の役割は、「面白そう」と「できそう」という気持ちのマッチングに尽きるのではないかと考えています。
中堅・ベテラン層がすべき「Z世代」への働きかけの在り方

まとめましょう。病院の中堅・ベテラン層からみると、Z世代とのコミュニケーションに独特の難しさを感じたり、彼らのキャリア形成を見ていて、どこか歯がゆく思ったりしてしまう面もあるかもしれません。
しかしながら、多くの場合においてZ世代はキャリア形成に対して真摯な態度で向き合っていますし、自己成長に対して強い関心を持っていることは大学教員の実体験としても感じています。
終身雇用が崩壊しつつあるリアルを知る彼らは、実は上の世代よりも、2年後や3年後の自分を思い描きながら成長することに積極的な一面もあるのです。
そこで大切になるのは、Z世代に属する年齢層の医療従事者に対して明確な複数のキャリアパスを提示し、デジタルイミグラントである私たちの古い価値観を押し付けずに、スキルアップや専門知識の拡大につながる成長機会を提供することでしょう。
こうした病院における中堅・ベテラン層の働きかけや教育の仕組み化がZ世代の職場定着や動機付けに大きく作用することは確かであり、その際にもやはり「面白そう」と「できそう」という気持ちのマッチングが重要な役割を果たすのではないでしょうか。
瀬戸 僚馬
東京医療保健大学
教授
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