積み立て投資を「勝率100%近く」にする方法
私は、過去のS&P500のデータなどを徹底分析し、自分のお客様に対しては、最低15年は継続する前提で積み立て投資を始めてくださいとアドバイスしています。
しかし問題は、15年続けても勝率が100%にはならないことです。老後の資金をつくろうと15年もの間、コツコツと積み立て投資を継続したのに、最後にお金が減ってしまったというのでは、ガッカリを通り超えて絶望してしまうかもしれません。
ただ、そんな時でもあきらめることはありません。試しに、15年間の積み立て投資でマイナスとなってしまった3つの期間で、積み立てをやめずに延長したと仮定して、再度シミュレーションしてみました。
まずは、1994年から2008年までの15年間のパターンで、積立期間をプラスした場合、[図1]のようになりました。
1年プラスすると成績は一転し、19%の利益を出せています。15年の積み立てでは約15万円の損失が出ていたのが、1年追加しただけで約37万円のプラスになっています。
次は、1996年から2010年までの15年間に、積み立て期間をプラスした場合の試算結果を見てみましょう[図2]。
この15年ではマイナス2%とわずかながら損失を出してしまいましたが、積み立てをもう1年プラスした場合はマイナス6%と損失が拡大してしまいました。
もうひとふんばりして、さらに1年プラスすると、損益はようやくプラスに転じ、23%の利益が出るという結果となりました。
では、15年間の積み立て投資でマイナス11%という最も大きな損失を出してしまった1997年から2011年までの期間はどうでしょうか。
1年積み立て期間を延ばすと一転して17%の利益となり、2年延ばすと84%もの利益を出せるという結果になりました。
結論としては、15年間積み立て投資を継続しても、ゴールに100年に1度レベルの金融危機と、歴史的な円高が重なるという二重の不運に見舞われれば損失が避けられないわけですが、そんな場合でももう1~2年ふんばって積み立て期間を延ばせば救われるということです。
こうした局面では、可能な限り相場が好転するまで積み立て投資を延長する価値は非常に大きいといえるでしょう。積み立て投資はスタート時点の相場環境は気にする必要はありませんが、ゴール時点の相場環境が悪いとパフォーマンスが大きく落ちてしまいます。
こうした場合でも延長という選択肢が取れるよう、ゴールの地点に多少の余裕を持った計画を立てておくと安心です。
ちなみに、ここまで紹介したシミュレーションデータはすべて、日本円をドルに換えて投資した場合の試算で、為替変動込みの損益です。
これを為替変動がないと仮定して試算すると、15年の積み立て投資はどの期間を切り取っても全勝となり、負けはゼロとなりました。10年の積み立て投資でも20勝1敗で、ほぼ負けなしといっていいレベルです。
リーマンショックは株価が半値近くまで暴落したのに加え、ドルに対する円の価値も史上最高値となる1ドル70円台を記録したという、歴史的な株安と歴史的な円高が見事に重なった時期です。
こうしためったにない不幸が重なってしまったとしても、1~2年耐えれば大きな利益が出るわけですから、やはり積み立て投資のパワーは強力だといっていいと思います。
投資塾ゆう
投資アドバイザー
※本記事は『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
注目のセミナー情報
【国内不動産】11月9日(土)開催
実質利回り15%&短期償却で節税を実現
<安定>かつ<高稼働>が続く
屋内型「トランクルーム投資」成功の秘訣
【海外不動産】11月12日(火)開催
THE GOLD ONLINEセミナーに
「アンナアドバイザーズ」初登壇!
荒木杏奈氏が語る「カンボジア不動産」最新事情
【国内不動産】11月14日(木)開催
社長登壇!アパート4棟所有、資産3億円!
“入居者に選ばれ続けるアパート”が成功のカギ
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】