単身者やカップルに適しているのは、クアラルンプールの都心部
小峰:もうひとつの日本人居住エリアである都心部のほうはどうでしょうか?
好井:お子さんと一緒に暮らすならモントキアラがお勧めですが、単身やカップルの方は都心のほうが楽しめます。
小峰:おすすめのエリアはありますか?
好井:クアラルンプールでいちばんの繁華街、ブキッビンタン駅周辺に行きやすいエリアがお勧めです。高級レストランがある一方、近くには大規模な屋台街もあり、日本食の店も多いので、食事やお酒を楽しむにもぴったりです。また、ルイ・ヴィトンやエルメスといった高級ブランド店から、伊勢丹やDON DON DONKI(ドン・キホーテ)まで揃っており、ショッピングを楽しめます。DON DON DONKIでは、生鮮食品や日本から輸入した食材も比較的安く販売されており、使い勝手がいいと思います。
設備の整ったタワマンも「家賃11万円~」とお手頃
小峰:モントキアラも都心も、それぞれのよさがありますね。気になるのは家賃なのですが、どのくらいでしょうか?
好井:モントキアラはファミリー向けの物件が多く、2ベッドルーム以上の部屋がほとんどです。1ベッドルームの部屋はあまりありません。建物の新しさやロケーションによって家賃は変わりますが、2ベッドルームの部屋で、3,500リンギット(約11万円)からあります。
小峰:モントキアラ在住の日本人は、駐在員の方が多そうですが、どれくらいの家賃の部屋に住んでいるのでしょうか?
好井:家賃補助で8,000リンギットくらい出ている会社が多いためか、8,000リンギット(約25万円)くらいの部屋に住んでいる人が多いと思います。この価格帯なら、かなり築浅で広い物件があります。タワマンもあります。
小峰:タワマンというと、いろいろな設備を期待してしまうのですが?
好井:スポーツジムとプールは、どのコンドミニアムにもありますし、セキュリティの方も常駐していますので、快適で安全な生活を楽しめます。
小峰:都心のほうはどうでしょうか?
好井:都心は単身やカップルの方が多いので、1ベッドルームの部屋も豊富です。建物の新しさやロケーションで家賃は変わりますが、1ベッドルームの部屋で、2,500リンギット(約8万円)からあります。都心でも、スポーツジムとプールはどのコンドミニアムにもあります。
小峰:では、家賃を高くすれば、よりアッパーな暮らしを楽しめるのでしょうか? 上を見ればキリがなさそうですが…。
好井:そうですね。家賃1万リンギット(約32万円)くらいの部屋に住んでいる方が、契約更新のときに「部屋が広すぎて使いきれない」という理由で、家賃8,000リンギット(約25万円)くらいの部屋に移ることもあります。家賃8,000リンギットくらいの部屋を選ぶのが、いちばん満足度が高いと思います。
物価の安さ、複数の民族が共生する寛容な社会に魅力
小峰:セミリタイヤの方などは、海外赴任の方とは違い、あえてクアラルンプールを選んで移住するわけですが、シンガポールやバンコクと比べ、クアラルンプールが選ばれる理由はどこにあるのでしょうか?
好井:マレーシアやシンガポールとは物価水準が違いすぎますので、これらの国と比較する方はいらっしゃらないと思います。しかし、バンコクと比べてクアラルンプールを選んだという方は結構いらっしゃいます。
小峰:なるほど。
好井:個人的には、食事はマレーシアよりタイの方がおいしいと思います。しかし、マレーシアには、マレー系・中華系・インド系が共存しながら社会がまとまっている、多様性から来る寛容さがあります。マレーシアに好感を持って暮らし始め、暮らし始めてからますますマレーシアが好きになるという方が、たくさんいらっしゃいますよ。
無理して東京に暮らすより、国外でゆったりできるのなら…
現地の日本人の生活ぶりをよく知る好井さんに、マレーシアでの生活について伺いました。
日本語が通じる場所が多く、教育環境も整い、家賃や生活費も手ごろに押さえられるとなれば、家族連れが暮らすにも安心です。
都内の一等地に家を構えて暮らすよりも、生活費が安く、かつ伸び伸びと過ごせる環境が揃っているのであれば、シンガポールへの移住も、有力な選択肢となるかもしれません。
小峰 孝史
小峰 Investments
マネージング・ディレクター・弁護士
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