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大学卒業後すぐにマレーシア移住…方法は?
小峰:加藤さんは大学を卒業してすぐにマレーシアに移住したとうかがいましたが、どのようにして実現したのでしょうか? ビザはどうやって取得されたんですか?
加藤:私は日本で大学を卒業してすぐ、22歳でマレーシアへ移住しました。もし数千万円の資産を持っていれば、MM2H※1やPVIP※2などのビザも取得できますし、経営者としての実績があれば、自分でラブアン島※3に法人を設立してビザを取得できるでしょう。でも、大学を卒業したての私にはなにもありませんでした。ただ、マレーシアにある「BPO会社」に雇用されたおかげで、ビザが取得できたのです。
※MM2H:マレーシア国内に定期預金を組み不動産を購入することで取得できる、マレーシアの長期滞在ビザ
※PVIP:マレーシア国内に定期預金を組むことで取得できる、マレーシアの長期滞在ビザ
※ラブアン島:法人税が3%と非常に低く設定されているなど、ほかの地域とは異なる税法が適用されているマレーシア国内の特別な地域

マレーシアのBPO企業は、社会人経験ナシでも採用可
小峰:海外の会社に雇用してもらうには、弁護士・会計士などの国家資格を持っているか、あるいは金融などの専門分野の経験がなければむずかしいと思うのですが、いかがですか?
加藤:私を雇用してくれたのはBPOの会社です。BPOとは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略で、会社が外注するビジネスを受託します。BPOでいちばんポピュラーな事業は、お問い合わせ窓口などの「コールセンター」でしょう。コールセンターは、BPOの事業のなかでも技術や経験が要求されることが少なく、社会人経験がなくても採用され、採用されればビザも取得できます。
小峰:採用のハードルが低いといっても、だれでも採用されるということはないですよね?
加藤:コールセンター業務は日本企業から受託するので、日本語を話せることが必須です。あとは、顧客からのリクエストなどをタイピングする必要があるので、最低限のタイピング技術も必要です。でも、必要条件はこれだけです。ですから、日本語を話せる人であれば、ほぼだれでも雇用されるといっていいでしょう。
20代から50代まで…幅広い日本人が働いている
小峰:BPOは若い人が多いのでしょうか? それとも、中年以降も採用してもらえるから中年以降が多いのでしょうか? あまりイメージが湧かないのですが…。どういった年齢構成でしょう?
加藤:私はマレーシアに来てから2回転職していますが、いま勤務している外資系BPO企業の場合は60歳定年で、20代が20%強、30代が50%弱、40代と50代が約15%ずつという構成です。ですから、30代が多いとはいえ、年齢的にかなり分散しているといえます。知っている限りでは、56歳で採用された人もいます。
英語が話せなくても給料30万円、話せれば約34万円
小峰:BPO企業での勤務時間はどうでしょうか?
加藤:担当するプロジェクトによっては夜勤や土日勤務もありますが、基本的に1日9時間勤務(そのうち、昼食休憩1時間、小休憩30分なので、実質労働時間7時間30分)で、週休2日です。決して厳しくはないと思います。
小峰:お給料はどれくらいですか?
加藤:BPO企業のなかでもさまざまな職務がありますが、コールセンター業務について見てみると、日本語だけできる人の場合、月給9,000リンギット(約30万円)、日本語に加えて英語ができると月給1万リンギット(約34万円)くらいが採用時の目安です。ここから9%の税金が引かれます。ちなみに、社会保険料は任意加入で給料の11%が天引きされるのですが、日本のような「賦課方式」と違って「積み立て方式」ですから、自分の支払った社会保険料は自分に還元されますし、毎年5~6%の利子がついているのでお得です。私は加入しています。
小峰:マレーシアの企業だと東京よりも給料が安いのかと思っていましたが、そんなことはないんですね。
ワーホリでオーストラリアに行くより「お得」
小峰:最近では「ワーホリでオーストラリアに行き、月給30万円以上を稼ぐ若者が増えている」といった報道を見かけますが、マレーシアに行って稼ぐのもアリですね。
加藤:そうですね。東京の物価の2倍以上といわれるオーストラリアと比べると、物価も安く暮らしやすいです。オフィス近くのコンドミニアムを借りる場合、だいたい月額2,200リンギット(約7万5,000円)からありますし、離れた場所ならもっと安いコンドミニアムもたくさんあります。

小峰:食費はどうですか?
加藤:私は独身で、だいたい8~9割は外食ですが、1食あたり500~1,000円ぐらいなので、東京よりも安いですね。ちなみにマレーシアは、マレー系・中華系・インド系の人々が住んでいますが、マレー料理・インド料理よりも中華料理のほうが安くておいしいと思うので、ほぼ毎日中華料理です。
小峰:勤務時間が短めですから、稼いで貯金したいという人の場合、オンラインでできる仕事を副業でやることもできそうですね。
加藤:そうですね。副業も十分できますし、やっている人も多そうです。マレーシア居住者が海外で得る所得については、マレーシア国内では所得税がかかりませんから、日本のクライアント向けの副業などもよさそうですね。
BPO企業で勤務しつつ、英語力を磨いて管理職を目指す
小峰:加藤さんの今後のプランはありますか?
加藤:私は大学卒業後すぐにマレーシアに来て働き始めたので、日本で働くこととの比較はできませんが、マレーシアでは、サービス残業やパワハラなど、仕事上で嫌な思いをしたことはなく快適です。ですから、日本に帰国して働くことは考えていません。
小峰: では、今後もずっとBPOの仕事を続けるお考えですか?
加藤: BPOは、クライアント企業から割り振られた作業をこなしていくことが多いため、スキルが付かず、将来が不安になりやすいというのはあると思います。そのため、海外に住むことで英語力を鍛え、管理職を目指すことで、自分自身のバリューを上げていきたいと思っています。
(2025年1月24日インタビュー)
小峰 孝史
OWL Investments
マネージング・ディレクター・弁護士
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