(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の不安を少しでも減らすため、資産形成に励んでいる人が多いなか、「実家(義実家)がお金持ちだから」と、自助努力を怠っている人もいるかもしれません。今回、裕福な義実家の遺産を密かに狙うAさん(60歳)の事例から、老後の資金計画の重要性と家計改善の方法をみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

「余裕を持った老後」を送るための“最短ルート”は

また、現在の支出内容を客観的に精査すると、支出額を少し減らしても、いまの生活水準を保つことができそうです。

 

具体的には、

 

・保険の保障内容

・自家用車の維持管理費

・外食の回数

・動画配信サービスや音楽ストリーミングサービスなど、「サブスク」といわれる定額制のサービス

 

などを見直すことで、現在の支出額を1割程度(毎月3万円超)減らすことができます。収入を増やすことを考えるより、こちらのほうが容易ですよと伝えたところ、Aさんも同意。無駄な浪費を減らすことを決めました。

 

収支を見直したことで、支出だけ減らしても家計は赤字になることなく(収入:約35万円・支出:約35万円)、支出を減らしたうえに年金の繰下げ受給を行えば家計は80歳まで黒字です(収入:約35万円、支出:約37万円)。

 

出所:「総務省家計調査報告2023年平均結果の報告」を参考に筆者が作成
[図表2]2人以上65歳以上の無職世帯の家計収支
出所:「総務省家計調査報告2023年平均結果の報告」を参考に筆者が作成

 

なお、現在57歳のBさんの年収は1,000万円です。55~59歳の男性の平均給与は702万円ですので、平均より高い給与であるといえます。

※ 参考:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」

 

また、65歳以上の家計収支の平均値[図表2]をみると30万円を下回っていることから、今後の支出の仕方しだいではありますが、今後のB家の収支も平均値を上回り、余裕を持った老後を過ごすことができそうです。

 

老後に向けたAさんの“新たな戦略”

Aさんは、「息子夫婦にもうすぐ子どもが生まれるみたいで、自宅に孫が来るのを楽しみにしているんです」といいます。その一方で、「亡くなった義父母のもとには子どもたちを連れていかずお金ばかりせびり、自分のことばかり考えていました。反省しなくちゃいけませんね……」と苦笑い。

 

筆者は、「相続放棄の件は非常に残念だったかもしれませんが、お義父さまのお金を生前もらっていたということです。これからはおひとりで抱え込まず、老後に向けた新たな戦略を立てていきましょう」とエールを送りました。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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