(※写真はイメージです/PIXTA)

個人としての収入もしっかり確保しながらも、余計な税金は払わずに済む「役員報酬の適正額」はいくらなのか……この経営者の悩みに対して、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏は「月100万円」がひとつの目安だといいます。その根拠とはなんなのか、役員報酬を高く設定した場合と低く設定した場合、それぞれのメリット・デメリットと「適正額」の理由をみていきましょう。

「会社の財布」と「社長の財布」は異なる

――では反対に、会社に多くお金を残すことのデメリットはありますか?

 

黒「ひとついえるのは、お金の自由度が低いということです。

 

会社の財布と社長の財布は、決して同じではありません。法人の資金の使い道は当然ながら、事業資金や社宅・社用車・交際費など、ビジネスに関わるものに限定されます。ですから、キャッシュの自由度は、個人のお金と比べると低いといえます。あくまでもお仕事のためにしか使えません」

 

「役員貸付金」が発生すると融資が受けにくくなる

黒「もうひとつのデメリットは、「役員貸付金」が発生する可能性がある点です。会社に多くのお金を残そうとして、社長の役員報酬を極端に少なくしている場合を考えてみましょう。

 

役員報酬を低くすることで、社会保険料や所得税の支払いは下がります。しかし、たとえば「月5万円」や「月10万円」など極端に役員報酬を少なく設定すると生活費が足りなくなってしまいます。

 

ここで仮にプライベートの支払いを会社の口座から行った場合、これは「会社から役員(社長)へお金を貸している状態」ということになります。これは「役員貸付金」という勘定科目で処理されます。

 

この役員貸付金には融資が受けにくくなるという大きなデメリットがあるため注意が必要です」

 

――どうして融資が受けにくくなるのでしょうか?

 

黒「金融機関は

 

●期日までにきちんと返済してくれるか?

●お金が適切に使われるか?

 

という点を融資の判断材料にします。

 

仮に決算書に多額の役員貸付金が載っている場合、銀行の立場からすると、貸したお金が会社の事業に使われず、社長個人や、他の会社に流用される可能性を危惧されてしまいます。

 

そのため、融資の条件として、役員貸付金の清算、つまり役員貸付金を減らすように求められることもあります」

 

――役員貸付金は融資の際に、非常に不利に働くんですね。

 

黒「そうなんです。したがって、会社に多くのお金を残すとしても、最低限、会社からお金を借りなくても済むような額を役員報酬に設定することをおすすめします」

 

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※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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