(※写真はイメージです/PIXTA)

個人としての収入もしっかり確保しながらも、余計な税金は払わずに済む「役員報酬の適正額」はいくらなのか……この経営者の悩みに対して、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏は「月100万円」がひとつの目安だといいます。その根拠とはなんなのか、役員報酬を高く設定した場合と低く設定した場合、それぞれのメリット・デメリットと「適正額」の理由をみていきましょう。

「役員報酬」のベストな金額は「年1,200万円」!?

――さて、結論としては社長に多く残す場合と個人に多く残す場合、結論としてはどっちが有利なんでしょうか?

 

黒「……場合によります」

 

――いやいや、もう少し詳しくお願いします(笑)

 

黒「では、ベースとなる考え方をお伝えしましょう。役員報酬を1,300万円以上もらうと、所得税33%プラス住民税10%で税率43%と負担が大きくなり、個人の手取りもあまり増えません。

 

役員報酬が1,200万円、つまり月100万円くらいであれば、課税所得900万円の壁を下回り、税率も住民税とあわせて33%で済みます。

 

つまり、この金額で生活に支障ないようであれば、あとは法人に多く残すことを基本にしてはいかがでしょうか」

 

――なるほど。法人に残るキャッシュはどう使うべきでしょうか。

 

黒「新たな事業資金・設備投資などに活用して、会社を強くしていくことに使うのが1つです。

 

また経営セーフティ共済などを活用して、いわば「簿外資産」のような、会社に留保しておくお金を確保することもできます。経営セーフティ共済は1社最大800万円まで加入でき、掛金は全額が法人の損金として認められます」

 

――弊社も加入していますが、いざというときにすぐに戻せるし、安心感がありますね。

 

黒「はい。また、その返戻金を、退職金の資金とすることもできます。退職金は「分離課税、退職所得控除、2分の1課税」が適用になるので節税効果が期待できますし、社会保険料が一切かからないというのもメリットです」

 

――では、以上の事を基本方針として、あとはケースバイケースで判断していくということでしょうか。

 

黒「そうですね。たとえば新設法人などの場合、資金繰りを安定させ融資を受けられる体制を作ることが先決なので、最初のうちは役員報酬をある程度低くして、会社生き残りのためになるべく法人にお金を残す、という方針が考えられます」

 

――では、個人に多くお金が必要な場合はどうでしょうか。たとえば住宅ローンの支払いが多いなど。

 

黒「『生活費・教育費がかさむ』『それほど事業拡大を考えていない』といった場合には、

 

 出典:国税庁
[図表2]普通法人の税率  出典:国税庁

 

中小企業の軽減税率適用ラインである年800万円に収まるくらいまで法人の利益が出るようにして、残りは役員報酬として個人に払い出す形でいかがでしょうか。

 

<<社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】の全編動画はコチラ>>

 

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

 

《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら

※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録