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「相続は事前に話し合わないと、9割が揉める」……裁判沙汰にならないまでも、遺産を巡って不仲になる、遺産分割以外にも介護、お墓に関するトラブルなどが発生することを考えると、9割という数字は決して大袈裟なものではありません。司法書士兼行政書士である太田昌宏氏の著書『円満相続のための 家族会議の始め方』(メディアパル)より、一部抜粋して紹介する本連載。太田氏が、司法書士ならではの視点から、トラブルを未然に防ぎ、円満な相続を実現するための家族会議の方法を、できるだけ分かりやすい表現を用いて解説します。

遺言書の最大のメリットは「法的拘束力があること」

「遺言書は作ったほうがよいですか?」と聞かれることがあります。経験上、私なら「迷うくらいなら作りましょう」と答えます。

 

相続が発生したのち、相続人の間で「生前、父はこの財産は○○に相続させたいと話していた」「この財産はおまえのものだと言われた」などの言った言わない論争がくり広げられるからです。口約束は証拠にならず、法的拘束力もありません。

 

「自分が考えたとおりに相続させたい」「相続で争いが起こる要素がある」「もめごとを予防したい」のであれば、遺言書を作るべきでしょう。

 

さて、通常の遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。

 

自筆証書遺言は、遺言書の内容をすべて自筆するなど要件が決められています。ただし現在は、本文以外の財産目録などはパソコンで作ったものを使用できるようになりました。

 

自筆証書遺言は、自身で保管する方法と法務局で保管してもらう方法のふたつがあります。後者は手数料がかかりますが、紛失の心配がなく、家庭裁判所による検認手続きが不要となります。

 

公正証書遺言は、公証役場において作成する遺言書です。手続きに公証人が関与するほか証人も必要で、手続きも厳格です。遺言としての証拠能力が高いといえます。

 

なお、どちらの遺言も作り直しできます。

 

Q.遺言書の内容を家族に知らせるべき?

 

遺言書の内容は、生前に家族に開示する義務はありません。つまり、ご自身で伝えない限り、家族は内容を知ることができません。

 

私がこれまでに関わった公正証書遺言作成の場面では、家族がすでにその内容を知っていることもありました。内容について家族で話し合いがされており、その証拠を残す形だったのでしょう。しっかり話し合ったなら、公正証書遺言でより確実に残しておくこともできます。

 

 

太田 昌宏

司法書士・行政書士

 

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円満相続のための 家族会議の始め方

円満相続のための 家族会議の始め方

太田昌宏

メディア・パル

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