(※写真はイメージです/PIXTA)

高くそびえる威容を誇り、富裕層のステータスシンボルともなるタワーマンション(タワマン)。しかし、いくらゴージャスな建造物でも、中に広がるのは、そこに暮らす人々の生活の場だ。管理組合も存在し、組合理事長は住民の生活を守るため、朝から晩まで駆けまわっている。広大なタワマンだけに、その距離は半端ない――。本記事では、あるタワマン管理組合理事長の活動から、タワマン生活の実情に迫る。

深夜の騒音に悩む人、昼間の生活音をクレームされて悩む人

エレベーターホールのような共用部の騒音ならまだいいが、これが住戸内に響く騒音となると事態は深刻化する。

 

夜中に洗濯機を回す住戸があり、騒音被害を被る住民が「うるさくて眠れないから止めさせてほしい」と管理組合に泣きついてくる。だが、洗濯機を回している住戸の特定は簡単ではない。そのため、全住戸に向けて、

 

「夜中の洗濯はご遠慮ください」

「洗濯機の下に振動抑制ゴムシートを敷いてください」

 

といった内容のチラシを配るなどして対応するしかない。しかし、このようにアナウンスに強制力があるわけではない。実践してくれる住民もいるが、非協力的な住民もいる。結局、そこが管理組合の限界点なのだ。

 

また逆に、音に敏感すぎる隣人からの嫌がらせに悩まされる住民もいる。

 

「日中に掃除機をかけているだけで、隣のお宅が壁をゴンゴン!ゴンゴン!と叩いてくるのです」

 

壁を叩かれた住民は、隣宅に気を使って静音性の高い掃除機に買い換えたが、それでも「ゴンゴン!」は止まらない。

 

「掃除機なんて、どこのお宅でも使っているでしょう? 私、もう耐えられません、助けてください…」

 

恐らく隣の住民は強烈に神経質な人なのだろう。どんなに配慮しても「ゴンゴン!」が止むことはなく、そのうち少しでも生活音をたてると、壁から「ボスッ!」「ベコッ!」と、別のもので叩く音まで響くようになった。

 

「私たち、引っ越します…!」

 

壁を叩かれ続けたシニア夫婦は、疲れ切った表情でタワマンから去って行った。終の棲家として購入したという話を知っていたT氏は、気の毒な結末に胸を痛めたのであった。

 

「どこへ行かれたのであろうか…」

 

タワマンだからといって、音がまったく響かないというわけではない。騒音トラブルは、やはり一般的な集合住宅と同様、各所で起こっているのだ。

共用ラウンジのばか騒ぎ…問題解決はつねに「いたちごっこ」

騒音のクレームの頻度が最も高いのが、共用部の「ラウンジ」だ。夜間に貸切パーティーが催されたりすると、「ラウンジがうるさすぎる!」「眠れない、静かにさせてくれ!」といった苦情が飛び込んでくる。

 

パーティーで騒ぎたくなるのもわかるが、場が盛り上がっているときの声は、本人たちが思っているよりずっと大きく、甲高い。そのため、部外者には相当耳障りに聞こえる。

 

「夜間は使用禁止にできないか?」

「住民以外を招くパーティーを禁止できないか?」

 

等々いろいろな要望が寄せられるが、ガイドラインを設けて抑制するだけの権限は管理組合にはない。

 

T氏はこのようなクレームには、ひたすら対症療法で向き合ってきた。クレームがあるたびラウンジに足を運び、様子を見守るのである。常軌を逸するほど騒がしいと判断した場合は、勤務中の管理人や警備員に連絡し、注意喚起してもらうよう依頼する。これをひたすら繰り返す。まさにいたちごっこである。

 

管理組合のなかには、過去に2回以上注意された騒音常習者の場合、3回目以降の申込みは遠慮してもらうなどのローカルルール設定をしているところもあるようだ。

「タワマンの騒音」の根本原因

タワマンのように堅牢な建造物で騒音問題が頻発することを、不思議に思う人も多いかもしれない。実はそれには、高層建築ならではの理由がある。

 

高層建物は耐震設計上、上層階は薄く軽量の建材が多用されている。そうなれば、必然的に住戸間の壁は薄くなり、騒音や振動も伝わりやすくなる。上述の問題も、共用ラウンジ以外は上層階で起こったものだった。

 

タワマン住民こそ「お互い様」の心構えで暮らすことが大切なのかもしれない。

 

もちろんタワマンに限らず、共同住宅の住民間トラブルは上下・両隣で起こるもの。T氏の例にもあるように、管理組合は「お互いに思いやり、助け合いましょう」といった趣旨の啓蒙活動を行うのが限界で、個別問題には深く介入できない。

 

些細なことで日常生活を崩壊させないためにも、住民同士のコミュニケーションを円滑にすることが重要なのだ。

 

 

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