(※写真はイメージです/PIXTA)

タワマンの価格の上昇が止まらない。「オリンピック終了後は不動産が暴落」との噂を聞き、マンション購入を延期した人もいるかもしれないが、価格は下落するどころか上がる一方だ。ひと昔前、いわゆる「億ション」は一等地にあるマンションの部屋のほんの一部というイメージだったが、いまは人気エリアにあるタワマンの高層階や広い部屋の多くは1億円を超え、もはや億ションも特別感のない言葉となった。このような状況下、タワマンは、腹の足しにもならないステータスや、すぐに見慣れる眺望を理由に、生涯がんじがらめのローンを組んでまで買うべきものなのか。

所有者の「優越感」を心地よく刺激する、タワマン

家とは本来、快適な生活を送るために購入するもの。しかし、家を買ったがために、毎月のローン返済に追い詰められ、馬車馬のごとく働かざるを得ない…。そんな状況に陥っているタワマン住まいの人は、決して少なくない。

 

かわいいわが子が生まれても、仕事に追われて一緒に過ごす時間が持てなければ、なんのためにマイホームを買ったのかわからなくなってしまう。背伸びした結果のタワマン購入・ペアローンで、そんな状況になっては本末転倒だ。

 

しかし、逆に不思議でもある。少し考えれば、共働き前提のシミュレーションでは、出産などのライフイベントで収入が減って苦しくなると予測できそうなのに、なぜタワマンを購入したくなるのか。ほとんどの人にとってマイホームは人生最高額の買い物であるはずなのに、なぜ先々のことまで考えず、高額なタワマンを購入してしまうのか?

 

ホテルのような豪華なエントランス、充実したワーキングスペースに、プール、ジム、パーティールーム、ゲストルームといった、行き届いた共用施設。駅直結などの利便性。プラス、一般のマンションが追随でいない高層階の開けた眺望があれば、人気が高いのも頷ける。

 

湾岸エリアの人気のタワマンは、都心に近く利便性があり、名前からもわかるとおり、眺望は海を見渡せる「絶景」だ。眺望のすぐれた部屋は人気が高く、高値で取引されている。

 

実際、ここ数年の値上がりは顕著で、人気タワマンのひとつである「パークタワー勝どき」を例に挙げると、2020年の一次販売では多くの部屋が坪単価400万円だったのに、現在売り出されている市場価格を見ると、1,000万円超えも珍しくない。

 

だが、そのような不動産としての充実ぶりや資産性の高さだけが、購入への動機ではない。

 

強弱には個人差があるだろうが、人には自分の優位性を示したいという気持ちがある。そして、多くのタワマンは、周囲から羨まれる立地に建設され、見た目も共用施設も豪華で、なにより所有できる人は限られている。「そんなタワマンに住める自分」という優越感、そして「タワマンに住んでいます」というだけで、周囲に収入の高さ(=いまの日本における社会的ステータスの高さ)をアピールできる。「かっこいい!」「すごい!」「羨ましい!」といった、周囲からの羨望の言葉からも、存分に優越感をくすぐられるのではないか。

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