(※写真はイメージです/PIXTA)

あなたは「生活保護」と聞いてどんなイメージをもちますか? 日本はここ数十年間、65歳以上のシニア層における、生活保護受給者の増加がつづいています。65歳といえば年金の受け取りが始まる年齢です(原則)。なかには、現役時代に年収が1,000万円以上あり、年金を平均額以上に受給しているにもかかわらず、生活保護を受給するケースがあります。このような事態はなぜ起こるのでしょうか? シミュレーション例をもとに解説します。

元エリート会社員の例~老後の家計収支シミュレーション~

現代のシニア夫婦世帯にもっとも多いのが、元会社員と専業主婦(夫)という組み合わせです。一般的に元会社員の配偶者は国民年金と厚生年金、専業主婦(夫)の配偶者は国民年金に加入します。

 

元会社員の配偶者が年収1,000万円で年金保険料を全期間納付し、65歳から受給開始した場合、年金受給額は以下のとおりです。

 

■国民年金 (老齢基礎年金)   月額6万8,000円 (令和6年度、満額、昭和 31年4月2日以降生まれの場合)

 

■厚生年金 (老齢厚生年金)   月額16万3,878円

※ 平均標準報酬月額・平均標準報酬額を65万円とする
※ 保険料納付期間は40年とし、総報酬制の導入前・後で計算式が変わることから、2003年3月以前を240ヵ月、2003年4月以降を240ヵ月とする

※ 令和5年9月時点の年金額とする

(出典:日本年金機構)

(注釈:各々最新の政府調査・政府公開データを組み合わせて試算しているため、実際にモデルケースの方は存在し得ません。あくまで概算としてご参考ください)

 

夫婦2人ともに国民年金を満額もらう場合、月の世帯年金収入は

 

国民年金 6万8,000円 × 2人分 + 厚生年金 16万3,878円 = 29万9878円

 

約30万円です。

 

年金収入は所得税や社会保険料等が天引きされます。年金が約30万円の場合、天引き額はだいたい5万円程度です。ここでは手取り額を約25万円とします。

 

生命保険文化センターの調査によると、令和4年65歳以上の老後生活での最低日常生活費は1ヵ月あたり約23万2,000円、夫婦2人におけるゆとりある老後の生活費は1ヵ月あたり月約37万9,000円です。

現役時代と同じく、ゆとりある生活をつづけると……

現役時代に年収1,000万円をもとに豊かな生活を送っていたファミリーは、当然ゆとりのある生活に慣れ親しんでいます。現役時代と同じ生活水準で生活をつづけるとすると、

 

年金手取り額 月約25万円 - ゆとりある老後の生活費 月約37万9,000円

 = 月約-12万9,000円

 

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