5.企業業績と株式
<現状>
●米ファクトセット(FactSet)によれば、S&P500種指数の2月の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+9.6%となり、6ヵ月連続で過去最高水準を更新しました。また、TOPIXの2月予想EPSは前年同月比+15.2%となり、9ヵ月連続で過去最高水準を更新しました。
●米国株式市場は、NYダウが最高値を更新するなど、上値を追う展開となりました。米景気が想定以上に強く、長期金利が上昇したものの、米景気のソフトランディングへの期待や生成AI関連銘柄の成長期待から、ハイテク株や半導体株中心に買いが広がり、堅調に推移しました。
●日本株式市場は、日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新するなど急上昇し、2ヵ月連続で大幅高となりました。好調な企業業績に加え、円安の進展、海外投資家の大幅買い越しを背景に、大型株や米国のハイテク株の上昇を受けた半導体株などが上昇をけん引しました。
<見通し>
●米国株式市場は、長期金利が上昇するなかでも好決算を材料に堅調さを保っており、今後も米景気のソフトランディングを前提とした適温相場が続くとみています。先行きのFRBによる利下げが視野に入るなか、米景気のソフトランディングに伴い企業業績の拡大が見込まれることから、投資家のリスク選好姿勢は継続するとみられます。このため、米国株式市場は緩やかにレンジを切り上げる展開を予想しています。
●日本株式市場は、日本の名目GDP成長や製造業における景気循環の底打ちを背景とした企業業績の拡大を織り込む形で、上昇すると予想します。これまでの上昇スピードの速さから調整リスクはあるものの、業績相場に入ることで下値は限られそうです。コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革進展への期待や、自社株買いや新NISA(少額投資非課税制度)の資金流入など良好な株式需給も相場上昇を支えるとみています。
6.為替
<現状>
●円の対米ドルレートは、米景気の堅調さを示す経済指標の発表が続き、FRBによる早期の利下げ観測が後退したことによる米長期金利上昇を受けて下落基調となりました。前月末の147円近辺から月末は150円近辺に下落して終了しました。
●円の対ユーロレートは、欧州金利の上昇に伴う日欧金利差拡大などから売られ、前月末の159円近辺から月末は163円近辺に下落しました。
●円の対豪ドルレートも、日豪金利差の拡大などから下落しました。前月末の96円半ばから月末は97円半ばに下落しました。
<見通し>
●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると想定します。当面はもみ合い推移が続くものの、先行きはFRBの利下げ開始と日銀の政策修正による日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。
●円の対ユーロレートは、当面レンジ内でもみ合うものの、先行きはECBによる利下げと日銀の政策修正が意識され、緩やかに上昇するとみています。
●円の対豪ドルレートは、当面レンジ内でもみ合うものの、中国経済の減速や日銀の政策修正により緩やかに上昇する展開を予想しています。