3.金融政策
<現状>
●FRBは、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(フェデラルファンド(FF)金利)を4会合連続で据え置きました。パウエル議長は会見で、次回3月会合での利下げに慎重な姿勢を示しました。また、量的引き締め(QT)の縮小ペースについて議論を始める計画があるとしました。
●ECBは1月の理事会で、3会合連続で政策金利の据え置きを決めました。フォワードガイダンス(先行きの指針)やその他の政策も変更はありませんでした。ラガルド総裁は記者会見で、市場の早期利下げ観測を時期尚早として否定しました。
●日銀は1月の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の現状維持を決めました。また、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で24年度の消費者物価上昇率(生鮮食品除く)の見通しを引き下げました。植田総裁は会見で、物価目標実現の「確度は少しずつ高まっている」と述べました。
<見通し>
●FRBは、インフレ動向をにらみながら、当面現状の政策金利(FF金利5.25~5.50%)を維持するとみられます。今後は、インフレの鈍化傾向に伴う実質金利上昇を回避するため、24年6月に利下げを開始し、以降四半期ごとに0.25%の利下げを実施すると予想します。
●ECBは、高止まりしているコアインフレを抑制するため、現状の政策金利(預金ファシリティ金利4.00%など)を当面据え置くと予想しています。欧州景気が停滞していることから、ECBも24年4-6月期に利下げに転じ、以降四半期ごとに0.25%の利下げを行うとみています。
●日銀は、24年3月の春闘回答集計を確認した上で、24年4月に、「展望レポート」を改定するとともに、マイナス金利の解除とイールドカーブ・コントロール(YCC)の解除・再修正を実施すると予想しています。
4.債券
<現状>
●米国の10年国債利回り(長期金利)は、米経済指標が市場の予想以上の強さを示したことや、パウエル議長による次回3月会合での利下げの可能性は低いとの発言を受け、FRBが早期利下げに慎重であるとの見方が広がったことから上昇しました。
●ドイツの長期金利は、ECBの早期利下げ観測が後退したことや、米長期金利が上昇したことを受けて上昇しました。
●日本の長期金利は、実質GDPが2四半期連続のマイナス成長となり、日銀による早期の金融緩和修正観測が後退したことなどから低下しました。
●米国の投資適格社債については、社債スプレッド(国債と社債の利回り差)は前月比横ばいでした。
<見通し>
●米国の長期金利は、FRBが先行き利下げに転じるとみられることから、緩やかに低下する展開を予想します。市場は利下げを一定程度織り込んでいるとみられるため、当面はもみ合うものの、景気減速とインフレの低下に伴い、徐々にレンジを切り下げていく展開を予想します。
●欧州の長期金利も、ECBが利下げに転じるとみられるため、米長期金利に連れて緩やかに低下する展開を予想します。
●日本の長期金利は、日銀によるマイナス金利政策の修正が見込まれるものの、米長期金利の低下基調を想定するため一進一退の展開を予想します。