(※写真はイメージです/PIXTA)

お店を開くためには、長時間にわたり土地柄や集客のしやすさなどを検証し、物件を借りることになります。ようやく物件を借りることができたのも束の間、いきなり大家から出ていってほしいと言われたら、困惑しますよね。新たに物件は見つかるのか、休業すると従業員の給料が支払えないかもしれない......。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、事業用不動産の立ち退きについて、小林嵩弁護士に解説していただきました。

契約して間もなく、大家から「出ていってほしい」と言われ…

相談者は接骨院開業のため、賃貸借契約を結ぶことに。晴れて念願の接骨院をオープンすることができ、一安心していました。

 

ところが契約して3ヵ月も経たずして、突然大家から4ヵ月後までに出ていってほしいと言われたのです。また、大家が賃貸契約中に他の不動産業者に物件を売りに出しているという衝撃の事実も発覚。

 

できればこのままお店を続けたいけれど、どう対処すればいいのだろう……。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

(1)大家からの立ち退きを拒否することはできるのでしょうか。

 

(2)立ち退く場合、初期投資の費用や引っ越し費用などは請求できるのでしょうか。

 

立ち退き要求は拒否できる場合が多い

本件での立ち退き要求は、法律上は賃貸借契約の解約申し入れをしているということになります。

 

契約で定められていれば、契約期間内であっても解約申し入れができるので、大家としては解約申し入れによって賃貸借契約を終了させて、建物を退去してもらいたいということになります。

 

もっとも賃貸借契約を締結している以上、借主は建物を使用収益できるので、直ちに立ち退き要求に応じる必要はありません。立ち退くか否かは交渉次第であり、大家は裁判なしに退去を強制することはできません。

 

このような立ち退き要求が簡単に認められてしまうと、借主の生活やお店の営業に大きな影響を与えてしまうため、借地借家法で借主の保護が図られており、解約申し入れが認められるには「正当事由」が必要とされています。

 

どのような場合に正当事由が認められるかは、借主の事情、大家の事情、立退料の金額等を考慮して決めることになりますが、判例上、立退料なしで正当事由が認められることは少ないです。

 

店舗の立退料としては、店舗の移転費用、新店舗の費用、移転期間中の営業補填等が一般的で、店舗の種類や規模などによって金額はケースバイケースです。

 

そのため、双方の具体的な事情にもよりますが、本件の場合では移転費用、新店舗の初期費用、改装費、移転期間中の営業補償などを請求できます。

 

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