銀行員から「相続対策」で「不動産活用」が勧められるワケ【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】

銀行員から「相続対策」で「不動産活用」が勧められるワケ【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

地主の相続対策として、銀行から不動産の取得を提案されることがしばしばあります。一体なぜなのでしょうか。本記事では、相続対策としての不動産活用の有効性について、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が解説します。

土地の価格

4つの異なる価格がある土地

土地は「一物四価」といわれることがある。

 

①時価:実際の不動産取引などにおいて形成される価格

②公示価格:地価公示法により2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価を求め土地鑑定委員会により調整し公示される価格

③相続税評価額:相続税法や財産評価基本通達などに基づき算出される価格

④固定資産税評価額:地方税法における固定資産税評価基準により算出される価格

 

一般的に、公示価格(上記②)を基準とし相続税評価額(上記③)は約80%、固定資産税評価額(上記④)は約70%の水準とされている。また、時価(上記①)と公示価格は特に都市部においては大きく乖離することが多く、昨今の好調な不動産市況においては時価が公示価格の倍以上というケースもある。

 

検証として、時価が公示価格の1.5倍であったと仮定すると各価格は図表3のとおりとなる。

 

出所:筆者作成
[図表3]時価を100%とした場合のそれぞれの割合 出所:筆者作成

 

時価を基準とすると、本件仮定においては相続税評価額の割合は時価に対して約50%の水準となる。

家屋の価格

家屋の相続税評価額は固定資産税評価額を採用する。当該固定資産税評価額は、市町村に選任された固定資産評価員により算出され決定されるが、昨今の建築費上昇においては、固定資産評価額は建築費の半分程度となることが一般的である。

 

したがって、現状の建築費を100とした場合に固定資産税評価額を50とすると図表4のとおり整理できる。

 

出所:筆者作成
[図表4]建築費を100%とした場合のそれぞれの割合 出所:筆者作成

追加不動産を賃貸用とした場合の相続税評価額

たとえばアパートやマンションなど賃貸用不動産を購入した場合の相続税評価は、土地建物それぞれ以下のとおり計算される。

 

土地

賃貸に出している土地は「貸家建付地」という。

 

《計算式》

自用地としての価格-自用地としての価格×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

 

注)借地権割合……国税庁が公表している「路線価図」において、対象不動産に接道する道路に記号が付されている。当該記号の割合は下記のとおり。

A:90% B:80% C:70% D:60% E:50% F:40% G:30%

当該記号の割合を計算式に当てはめ、計算する。

 

注)借家権割合……30%

 

式を見ると複雑であるが、貸家建付地は借家人に賃貸していることにより、土地の利用阻害(たとえば、自用で使いたい購入者には売れない、解体において立退きが必要など)があるため、当該利用阻害分が自用地に比べて控除されていると考えればよい。

 

建物

貸家については以下の式となる。

 

《計算式》

固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合

 

土地と同様に、賃貸としていることによる利用阻害分が控除されると考えればよい。

 

 

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