「1ドル150円」再来か…2月の米ドル/円動向を占う「FOMC」「米雇用統計」の注目ポイント【国際金融アナリストが解説】

1月30日~2月5日の「FX投資戦略ポイント」

「1ドル150円」再来か…2月の米ドル/円動向を占う「FOMC」「米雇用統計」の注目ポイント【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

昨年末の円高相場が一転、今年に入り米ドル高・円安地合いが続く米ドル/円相場。ふたたび「1ドル150円」をつける可能性はあるのでしょうか。そこで、米ドル/円の方向性に多大な影響を与える直近の重要イベント「FOMC」と「米雇用統計」の注目ポイントについて、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

今週の注目点…FOMC、そして1月の米景気データ確認

今週は水曜日、日本時間では木曜日の早朝に、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表、そして金曜日の米1月雇用統計発表など注目イベントが多く予定されています。そのなかでも、より重要なのは雇用統計を筆頭とした1月の米景気データ発表でしょう。

 

ちなみに、1年前はまさに2月初めの米雇用統計発表が転換点でした。このとき、前年末から米景気の減速リスクを織り込む形で米金利が低下傾向となっていました。

 

そういったなか、2023年2月3日に発表された米1月雇用統計で、注目のNFP(非農業部門雇用者数)は予想の19万人増を大きく上回る51万人増といった「ポジティブ・サプライズ」。これにより、米景気減速見通しを受けた米金利低下は急転換となり、「米金利上昇=米ドル高」へ向かうところとなったのでした。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表3]米ドル/円の日足チャート(2022年12月~2023年3月) 出所:マネックストレーダーFX

 

さて、最近の場合も構図は比較的似ています。2023年7~9月期の米実質GDPは5%近い異例の高成長となり、米長期金利の10年債利回りも2023年10月には、何と2007年以来、約16年ぶりの5%まで上昇しました。

 

ただ、さすがにその後は景気も減速に向かうだろうとして、米金利も低下傾向となりました。ところが、上述のように先週発表された2023年10~12月期の実質GDPは前期比年率で3%以上と、なお高い伸びを記録したのでした。

 

さすがに米景気は減速に向かい、FRBもインフレが抑制されてきたことを受けて利下げへ転換に向かう。といったシナリオは維持できるのか、それとも修正を余儀なくされることとなるのか……1月の米景気データの結果は重要な意味になりそうです。

 

2月2日の雇用統計発表は、すでに述べた1年前の経験も合わせて考えるなら、その最初の試金石になるのではないでしょうか。念のため、今週予定されている主な米景気指標の予想をおさえておきましょう。

 

〈1日〉1月ISM製造業景気指数……前回47.4、予想47.4

〈2日〉1月NFP……前回21万人増、今回16万人増

     同失業率……前回3.7%、予想3.8%

 

先週の米ドル/円の値幅は2円程度にとどまりました。ただそれ以前、年が明けてからの3週間の米ドル/円週間値幅は3~4円の大幅が続いていました。

 

米ドル/円のボラティリティ上昇は、大幅な金利差の影響が大きいと考えられます。その意味では、大幅な金利差が続くなかでは、米ドル/円は高いボラティリティ、つまり週間値幅は3~4円以上に拡大する可能性が高いと考えられます。

 

今週は、これまで見てきたように、雇用統計など1月の米景気データの結果次第で、「米景気減速=米金利低下=米ドル安」が続くか、一旦の修正を余儀なくされるかといった分岐点を迎える可能性がありそうです。

 

その上で、ボラティリティの高い状況が続くなら、今週の米ドル/円は146~150円中心のレンジで予想したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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