勤勉なのに労働生産性が低い…。日本の中小企業が抱える「深刻な根本原因」、一番の解決策は“いつもと違う顔”

勤勉なのに労働生産性が低い…。日本の中小企業が抱える「深刻な根本原因」、一番の解決策は“いつもと違う顔”
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本企業の労働生産性が低い原因として、「効果のない会議」、「部下を管理するためだけに書かせている報告書」など、効果的ではない業務についてよく挙げられます。しかし、こうした業務を効率化し改善するだけでは問題は解決しない、と社員数50名の新聞販売店を23年間経営し、多くの企業の経営支援に携わってきた米澤晋也氏は言います。日本の中小企業の労働生産性が低い根本原因と、最も有効に働く解決策について、米澤氏が解説します。

 

「いつもと違う顔」が組織を動的に変える

静的に固まった組織を、動的に変える最も有効な方法は、外部の人間を招き入れることです。

 

前出の調査では、イノベーションの促進策として、トップマネジメント(社長・会長クラス)の多くが「外国人を含む高度専門人材の採用」と回答しています。しかし、これは中小企業にとって現実的な方法ではありません。

 

私は、20年以上の期間に渡り新聞販売店を経営してきました。新聞業界はまさに、再びイノベーションが求められていますが、組織が固まっているためになかなか変わることができずに苦しんでいます。当社も例外ではありませんでしたが、限られた条件下と、最小限の手間でできる対策を講じてきました。

 

取り組みは次の通りです。

 

1.社内に、部署や立場を超えたプロジェクトチームをつくる

 

2.お客様をプロジェクトに招く

 

3.社員とともに、業界外の集まりに参加する


要するに、「いつもと違う顔」が必要なのです。

 

当社は、イベントや販促企画などを行う際には、部署や役職、社歴を超えたプロジェクトチームを結成します。上下関係なし、自由に発言すること、失敗を責めないことをルールに、新聞配達のアルバイト、集金のパートさん、正社員など、立候補により結成します。

 

プロジェクトチームには、顧客を含む、外部の人にも入っていたただくように心がけました。特に顧客は遠慮なくものを言ってくれます。良い意味でかき回してくれ、組織の凝固を防止する効果がありました。

 

社員は、それぞれが業界外のコミュニティに所属しています。ビジネスに関係ないコミュニティでもOKです。そうすることで、組織に多様な考え方が入ってきます。

 

そのお陰で、業界の常識に縛られることがなくなり、朝刊と一緒に焼き立てパンを宅配するサービスや、地域の方とともに地域づくりを行う事業などが立ち上がりました。全国に1万3,000社ある新聞店の中でも、唯一無二の業態に進化したのです。

 

労働生産性の課題は、突き詰めると「組織風土」という手強い問題に行き着きます。風土の改革には、非常に長い時間を要します。だからこそ、早いうちに手を打つ必要があると考えています。

 

本記事で紹介した方法以外にも、様々な方法がありますので、是非、積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

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