賃上げができない企業のたどる道
政府は、2030年代半ばまでに最低賃金を1,500円に引き上げる目標を掲げました。同時に、終身雇用などの日本型雇用慣習を見直すことも閣議決定しました。
これらが実現すると、賃上げができない企業は淘汰され、そこで働く社員は、生産性が高い企業に吸収され、労働力の流動化が進むと予想されています。結果的に、社会全体として賃上げが実現するとともに、企業の経営クオリティが高まる可能性があると考えられています。
実際に、似たような施策をとったスウェーデンでは、この20年間で50%もの賃上げを実現しています。
しかし、企業は淘汰の荒波にさらされることになります。特に、経営体力がない中小企業にとっては、大きな変革を迫られることになるでしょう。
これからは心の豊かさの時代か、まだ物の豊かさか
中小企業がこれからやってくる荒波を乗り越えるためには、付加価値の高い経営に変容することが必須となります。そのための要件は2つあります。
1.業務効率の向上
2.感性価値の創造(心の豊かさの創造)
業務効率化は、限られた経営資源で、効率よく仕事を進めることが鍵となります。具体策として、「効果のない仕事の廃止」「待ち時間の短縮」「DX化の推進」などが有効です。
感性価値とは、感動や共感といった精神的な満足度の高い価値を指します。一通りのモノを手にした現代の生活者は、感性価値の高い商品やサービス、接客などを求めています。
内閣府が毎年行っている「国民生活に関する世論調査」の中に、「これからは心の豊かさの時代か、まだ物の豊かさか」という設問があります。それによると、1972年には、「物の豊かさ」と答えた割合が40%なのに対し、「心の豊かさ」は37.3%でした。それが2019年には、それぞれ、29.6%、62%と、大幅に逆転しています。
感性価値創造は、淘汰の時代を生き抜くために欠くことのできない要件と言えます。しかし、創造性という、目に見えず、スペックで計測・評価できない、不確実な能力に依存するため、多くの企業が苦慮しています。
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