解雇規制の緩和……2019年に打たれていた布石
自民党総裁選の際に、何人かの議員が「解雇規制の緩和」について言及しました。
急に話題に上り驚いた人も多かったと思いますが、実は、布石は2019年に打たれていました。
当時の経団連会長である中西宏明氏は、「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」と明言していますし、その半年後に、豊田章男氏が援護射撃をするように「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と会見で述べています。
今、当時の伏線を回収するように、緩和に向けた動きが始まろうとしています。規制が緩和されたらどのような事態になるのでしょうか。本記事では、経営者と労働者の両面から、影響と対策について考察したいと思います。
解雇規制緩和時代を生き抜くには“相当な自助努力”が求められる
一体、解雇規制緩和にはどんな狙いがあるのでしょうか。
どうやら、「スウェーデンモデル」を模範としたアプローチを目指しているように見受けられます。スウェーデンモデルとは、スウェーデン政府が推進する、賃上げを主軸とした経済成長策のことです。
スウェーデンでは、業績に関係なく、すべての企業に一律の賃上げを義務付けています。そうすると生産性の低い企業は倒産してしまいますが、政府はお構いなしです。労働者は生産性の高い企業に吸収されるからです。
政府は、労働者が再就職ができるように、国をあげて教育支援に取り組んでいます。このセーフティネットにより労働者は解雇されても萎縮せず、大胆に再挑戦ができるのです。スウェーデンでは、この施策により、ここ20年間で50%もの賃上げを実現しています。
日本政府は、再就職の教育支援を企業に求めようとしていますので、解雇規制緩和時代を生き抜くためには、企業も労働者も相当な自助努力が求められるでしょう。
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