「合同会社」のキホン
――昨今よく耳にするようになった合同会社ですが、比較的新しい法人の形なので、まだ馴染みがない人も多いのではないでしょうか? 実は合同会社には、株式会社や個人事業主と比べてさまざまなメリットがあります。
本日は、合同会社と株式会社、さらに個人事業主の3つを比較しながら、黒瀧さんに解説していただきたいと思います。早速ですが、合同会社とはどのような法人なのでしょうか?
黒瀧氏(以下、黒)「以前、『有限会社』というのがあったのを覚えていますか?」
――はい、私も有限会社を立ち上げた経験があります。
黒「そうなんですね! 2006年の会社法改正で有限会社がなくなり、代わりに新しく誕生した法人がこの『合同会社』です。アメリカのLLC(Limited Liability Company)がモデルとなっています。
たとえば、Appleやアマゾンの日本法人は現在合同会社ですし、USJの運営会社やDMMも株式会社から合同会社に変更しています」
――へえ! 有名企業が合同会社を選ぶことがあるんですね。
黒「また、2019年の新設法人約12万件のうち3万件ほどが合同会社であり、合同会社で登記する会社が増えています。また、個人事業主が法人化する際に、合同会社を選ぶという方も増えているようです」
――なるほど。小規模な会社と大企業、どちらのケースも合同会社を利用するケースが増えているんですね。これはすごいメリットがありそうですね!
株式会社と合同会社…どちらがお得?
――では、ここから3つのテーマに沿って、「株式会社」と「合同会社」どちらがお得なのか教えていただきたいと思います。
1.設立費用
黒「株式会社と合同会社それぞれの設立費用を表にしてみました。
――図中の「合計」のところをみると、つまり合同会社のほうが株式会社より、約14万円2,000円も安いんですね。
黒「はい。さらに補足すると、2つ目の『収入印紙代』は電子定款にすれば不要です。つまり、合同会社はいちばん安い場合、登録免許代6万円のみで設立することができます」
――安! ちなみにランニングコストはどれくらい違うのでしょうか。
黒「株式会社は役員に任期があり、期限が切れるたびに「重任登記」が必要です。その際に、手数料として1万円、資本金が1億円以上であれば3万円が必要です。また、決算の公告義務があり、これには年間3~6万円の手数料がかかります。
一方、合同会社は役員の任期も決算の公告義務もありません。そのため、それらの手数料も当然かかりません。ということで、ランニングコストも合同会社のほうが年間数万円安いです」
――なるほど。ということは、費用面に関しては合同会社の勝利ですね!
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