合同会社は柔軟な運営ができる一方、トラブルも起きやすい
2.自由度
黒「合同会社は、株式会社のように出資者と経営者が分かれていないため、柔軟な運営が可能です。
まず利益配分についてですが、株式会社は『出資比率』、つまり持ち株数に応じて配当が決定されます。一方、合同会社の配当は出資額に比例する必要はなく、社員間で自由に決めることができます」
――それって、合同会社でたとえば優秀な社員の利益配分比率を高く設定することも可能ということですか?
黒「そのとおりです。次に、意思決定についてですが、株式会社は、重要な決定事項は『株主総会』を通す必要があります。その反面、合同会社には株主総会のようなものがなく、組織内で自由に意思決定できます。そのため、フットワークの軽い迅速な意思決定が可能です」
合同会社は意思決定や利益分配において、株式会社よりも自由度の高い経営ができるということですね。ということは、自由度に関しても勝敗決まりましたね。えっと、自由度も……
黒「ちょっと待ってください!」
――どうしてですか、もう結果は出てるじゃないですか!
黒「『利益配分を自由に決められて経営の自由度が高い』というのは合同会社の大きなメリットですが、その反面、社員同士のトラブルが起きやすいというデメリットがあります」
――なるほど。自由だからこそ、経営方針の違いや待遇への不満などがきっかけで意見の対立が起きやすいんですね。では、改めて……。自由度は、合同会社の勝利です! ただし、自由だからこそ社員同士のトラブルに注意しましょう。
3.信用度
黒「合同会社は、まだ株式会社ほどの知名度がありません。そのため、取引先によっては契約上不利になったり、採用時に人材が集まりにくいなど、信用面で不利になることがあります。また金融機関からの融資の際にも、株式会社のほうが信用度が高く有利です。
一般的に、合同会社は中小企業に向いているといわれていますが、先述したように合同会社の形をとる大手企業もあります。今後も大企業の合同会社が増えていけば、信用度が上がっていく可能性があります」
――なるほど。では、信用度は株式会社の勝利ですね! ただし、今後は変わってくる可能性もあります。
他にも株式会社と合同会社の違いでおさえておいたほうがいいことがあれば教えてください。
黒「合同会社は、一人会社で出資者が死亡した場合、死亡によって会社が解散となります。そのため、合同会社を設立する場合はこのような事態を想定して、あらかじめ定款に相続に関することを記載しておくことが重要です。この点が、みなさんに気をつけていただきたいポイントですね」
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黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
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