医療保険は保障内容が充実化。わずかに保険料アップでも“割安”
⇒いまや「入院一時金がつき、7大疾病や8大疾病の入院は無制限」が主流
医療保険は、わずかに保険料が上がっています。長生きになった分、病気にかかる確率は高まります。したがって、本来ならもう少し上がってもいいはずなのです。しかし、医療保険は各保険会社が力を入れているジャンルとあって、価格競争も熾烈。そう大きな値上げはできないのです。
では、10年前と大差がないかといえば、そうではありません。保障内容は格段によくなっています。
医療の現場で大きく変わったのは、入院の短期化です。この先どんどん短くなるという予測もあり、いままでの入院日数に応じた保障ではカバーできません。そこで、入院一時金タイプが登場してきました。さらに、三大疾病(特定疾病)などの要件も緩和されています。医療の進歩に合わせ、適用される手術も変わっています。
現在、主流の医療保険は、入院一時金がつき、7大疾病や8大疾病の入院は無制限となっています。保障内容まで含めれば、実質は値下げといえるでしょう。
医療保険は加入年齢が上がるほど保険料が上がりますが、保障内容もどんどん変化しています。ある程度の期間で見直すと、より充実するはずです。
がん保険は保障内容がガラリと変化
⇒「がんと共に生きるための保障」へ。がん治療給付金は「1年に1回」形式が増加
がん保険は保険料だけでは比較できません。なぜなら、この10年で保障内容が大きく変わったからです。がんの5年生存率が延び、がんと共に生きるための保障が注目されるようになりました。
がんの治療法は手術中心でしたが、手術のほか、化学療法・放射線治療という3大治療へと変化しています。また、入院日数も短くなっています。以前の手術と入院がメインの保障では実情と合わなくなったのです。
10年前のがん保険は、がん治療給付金は2年に1回が一般的でしたが、いまは1年に1回というスタイルが多くなりました。
全体的な流れとしては、
●入院を特約にして、抗がん剤治療給付金やホルモン剤治療給付金といった治療給付金を重視する商品
●診断一時金を重視する商品
の2つのタイプに分けられます。さらに、自由診療に対応する商品が増えてきたことも特徴です。
がんの治療法は目覚ましく進歩しています。年齢が上がると保険料も上がるかもしれませんが、医療保険よりも定期的な見直しが必要だといえそうです。
次回は「火災保険」の10年前といまの比較を紹介します。
横川 由理
FPエージェンシー代表、CFP®、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。
著書に『老後にいくら必要か?』『50歳からの資産防衛術』(すべて宝島社)、『大切な人を亡くしたあとのお金のこと手続きのこと』(河出書房新社)、『保険 こう選ぶのが正解! 2024-2025年版』(実務教育出版)、『知らないだけで損をしている! インフレってなに?』(自由国民社)など多数。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。
著書に『コワ〜い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(すべて河出書房新社)、『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)、共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)など多数。
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