年齢や状況によって「備えるべきリスク」は千差万別
自分のリスクってなんだろう。ここは意外とわかりづらいものです。
そこで本書『NEWよい保険・悪い保険2024年版』では、年齢別・状況別に考えられるリスクをあげてみました。どんなリスクに対して保険が必要なのか、本稿では教育費がピークに達する50代前半のケースを見ていきましょう。
もっとも、ひとつの保険で、すべてのリスクをカバーすることはできません。医療保険は入院や手術、がん保険はがんに対して、死亡保険は死亡だけといったように、保障される対象は限定されています。
つまり、複数のリスクに対応するためには、複数の保険が必要なのです。そのベストな組み合わせも、提案したいと思います。
さらに、保険以外にも目を向けています。ほかの方法を使ったほうが、効率的な場合もあるからです。どういう制度が有効か、あわせて説明します。
家計におけるお金のリスクコントロールは、家計全体のバランスを考えることが大切です。公的保険やその他の制度を理解し、上手に活用しながら、保険を見直してください。
どの程度の保障をつけるかの目安として、保険料の一例を入れました。本書『NEWよい保険・悪い保険2024年版』PART1でベストにあがった商品を元に、保険料を試算しています。
一方、iDeCo、NISA、国民年金基金などの掛金は、具体的な数字を入れていません。こちらはそれぞれの状況に応じて、ムリのない範囲で積み立ててください。ちなみに、掛金は多いほうが、将来にゆとりが出ます。
教育費で家計がピンチ!50代前半のケース
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●家族構成
夫:50歳、会社員
妻:50歳、パート
子ども:18歳、17歳
●悩み
「二人の子どもが大学生になります。教育費がダブルでかかってくるので、家計はかなり厳しい! できるだけ節約したいところです。保険は5年前に見直しをしましたが、それでも月に4万円の保険料を払っています。これ、なんとかなりませんか。」(夫、50歳・会社員)
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【回答】必要な保障に絞ると、大幅な節約に
月額4万円の保険料は負担が大きいですね。加入中の保険は組立型総合保険で、保険料は比較的高めです。さまざまな特約がついていますが、ムダな保障も多いといえます。家計のリスクを考え、必要な保障を整理してみましょう。
子どもたちが独立するまで、死亡保障は必須です。教育費がピークの時期にがんにかかって収入が減っては困りますから、がん保険も必要です。まずは、大きなリスクに対しての備えを確保しましょう。こうして保障を2つに絞ると、月々の保険料は約1万5000円に抑えられます。毎月2万5000円の節約です。家計の負担が減り、赤字から抜け出すことができるのではないかと思います。
さらに、そろそろ定年を見据えて、老後資金の準備に取りかかる年代でもあります。たとえば、月1万円でもiDeCoかNISAで積み立てを始めておきましょう。そして、余裕ができたときには掛金を限度額いっぱいまでにし、老後資金を増やしてはいかがでしょうか。
横川 由理
FPエージェンシー代表、CFP®、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。
著書に『老後にいくら必要か?』『50歳からの資産防衛術』(すべて宝島社)、『大切な人を亡くしたあとのお金のこと手続きのこと』(河出書房新社)、『保険 こう選ぶのが正解! 2024-2025年版』(実務教育出版)、『知らないだけで損をしている! インフレってなに?』(自由国民社)など多数。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。
著書に『コワ〜い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(すべて河出書房新社)、『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)、共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)など多数。
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