世界のロボット関連企業を次々買収する「エストン」
エストンは創業者の呉波董事長が大株主(41.95%出資)のオーナー企業だ。収益の柱をNC(数字制御)システムからロボット事業に転換し、成長を遂げてきた。
16年以降、3Dセンサー開発などの伊エウクリッド、ファクトリーオートメーション(FA)の独M.A.i、ロボットアームの米バレットに出資し、制御装置の英トリオ、溶接ロボット大手の独クロースを買収。産業用ロボットの売上構成比率は31.1%(16年)⇒77.3%(23年6月中間期)に上昇した。
中国では新エネルギー(新エネ車、リチウムイオン電池、太陽光パネルなど)分野で強みを持つという。国家政策に沿った成長産業への注力でシェアを伸ばしてきたようだ。
海外売上比率は29.3%(23年6月中間期)。現在は主にクロースが担うが、24年以降は「ESTUN」ブランドの海外進出を本格化させる。
同社の本社近くには送配電網システムを手がける大手国有企業がある。前述のIR幹部は「あの企業はクーカのロボットを使っているのよ!」と苦笑い。国有企業だから国産ロボットを使いなさい、と冗談半分で諭しているようだった。
逆にいえば市場拡大のチャンスはまだまだあるということ。年内には足元の年産能力2万台を5万台に引き上げる考えだ。「中国メーカー推し」の追い風を受け、今後のさらなる成長を見守りたい。
奥山 要一郎
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所 所長
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