友人・職場の人など「身近な人」にほどやってしまう…相手の“好意”を逃す「思い込み」の危険なワナ

友人・職場の人など「身近な人」にほどやってしまう…相手の“好意”を逃す「思い込み」の危険なワナ
画像:PIXTA

「価値観の違う相手とどう話せばいいのかわからない」「こちらの話は聴いてもらえず、一方的に話されてしまった」コミュニケーションの悩みは尽きないもので、ちょっとしたことで相手に不快感を覚えたり、逆に不快感を与えてしまったりすることは多々あります。本稿は、研修講師として民間企業、官公庁の研修・講演の講師の仕事を歴任し、25万人以上への指導経験を持つ、日本アンガーマネジメント協会理事である戸田久実氏の著書『アクティブ・リスニング ビジネスに役立つ傾聴術』(日経文庫)より、一部抜粋して紹介します。

 

あまり親しくない相手と距離を縮めたいとき

関係性ができてすぐのときには、「どんな話題の話をしたらいいのだろうか?」と迷うこともあるでしょう。

 

そんなときには、相手の様子を観察しながら聴いてみてください。話していて相手がうれしそうにしたら、その話題をもっと気持ちよく話してもらえるようにします。

 

たとえば、子どもの話や趣味の話のときに、「それって、どういうことですか?」「お子さんはおいくつですか? それはかわいい盛りですよね」と、相手の興味があることを重点的に引き出すようにすると、こちらから話題を提供しなくても話が盛り上がり、相手のことを知ることにもつながります。

「話を聴くだけ」で心の距離を近づけることもできる

相手の様子を観察しながら話を聴くと、初対面の人とも仲良くなることができます。

 

以前、30代前半の女性とはじめて会った際に、住んでいる場所の話から、もうすぐ結婚するので引っ越す予定であることを聴きました。思わず、「おめでとうございます」と言ったところ、ちょっと浮かない表情をしたのです。そこで、何か思うことがあるのかと尋ねたところ、

 

「じつは……マリッジブルーなのか、なんだか結婚することに悩み出して……」

 

と話し出したのです。

 

「そうか、悩んでいるのね。差し支えなければ、どんなことで悩んでいるのかを聴かせて」

 

としばらく聴き役に徹していると、相手のご家族とのやりとりのなかで不安を感じたことや、馴染みのない土地へ転居することへの不安など、いろいろな話をしてくれました。

 

相手の表情や反応などを観察し、いまこの話題について話したいのだろうと思う点を引き出し、共感しながら耳を傾けることで、相手も「自分の話を聴いてもらえた。わかってもらえた」 と親近感を持ってくれる可能性が高くなります。彼女とは後日会う約束もしました。

 

このように、話を聴くだけで心の距離を近づけることもできるのです。

口数が少ない相手と対話するとき

口数が少ない相手と対話するときには、先にこちらの失敗談などを自己開示し、親しみが わくようなエピソードを話してから、相手の話を聴くというのもひとつの方法です。

 

こちらが緊張すると、相手にもその緊張感が伝わってしまいます。気軽に話せるように、なるべく何か「共通項」を探しましょう。

 

わたしの場合は、住んでいる場所や趣味などの情報がわかったとき、あえて話題に入れるようにしています。相手の心の扉を開くために自分の話をすることも、アクティブ・リスニングの手法のひとつなのです。

おすすめの話題は「名前」について

初対面の人と名刺交換をしたとき、名前の漢字が印象に残ったら、

 

「〇〇さん、きれいなお名前ですね」

 

「こういうふうにお読みになるのですね。こう読む人にはじめてお目にかかりました」

 

名前を話題にして聴くのもおすすめです。

 

自分の名前の由来についても話してくださる方は結構多く、たとえば以前、男性で瑞穂(みずほ)さんという方がいたので、「瑞穂さんとおっしゃるのですね。男性で瑞穂さんという人にははじめてお目にかかります」とお伝えすると、「そうですよね。女性だと思われますよね。じつはお腹のなかにいるとき、両親は女の子だと思っていたのです。そこでわたしが生まれて、この名前になったそうです」と、話してくれました。

 

名前の由来は、多くの人が話しやすい話題です。 初対面の挨拶の際に、意識して聴いてみてはいかがでしょうか。

 

 

戸田 久実

アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事

 

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