(※写真はイメージです/PIXTA)

被相続人を長期間にわたって介護してきた場合、相続での取り分を多くすることは可能なのでしょうか。本稿では、介護していた相続人の「相続財産の増額」が認められる条件や、その権利を主張するために必要な証拠、認められた場合、相場はどのくらいなのかなど、実際に認められたケースの事例等も交えて詳しく解説します。

療養看護型の寄与分が実際に認められたケースは?

被相続人が認知症を発症し介護を必要としていた、介護を長期的に行っていたというケースで裁判所は寄与分を認める傾向があります。

認知症の被相続人を介護し、10年間にわたり特別の寄与が認められた事案

被相続人の子供Aが20年余にわたり病弱で老齢の被相続人と同居・扶養し、特に被相続人の認知症の悪化〜死亡に至るまで10年間は常に被相続人へ付添い看護しています。子供Aがその寄与分を主張した事案です(盛岡家庭裁判所昭和61年4月11日審判)。

 

【裁判所の判断】

 

裁判所は、少なくとも子供Aが被相続人と同居・扶養した20年の内、後半10年間の療養看護に特別の寄与を認めました。そして、被相続人は他人を介護従事者として雇った場合、支払う必要がある費用1,971万円の支払いを免れたと認定しています。

 

しかし、その子が介護従事者ではなく6年ほど家族のため、一般家事労働をなす余裕もあった点について考慮し、上記金額の60%(裁量割合0.6)である1,182万6,000円の寄与分が認められました。

通常期待される扶養義務の範囲内か否かが争われ、特別の寄与が認められた事案

被相続人は子供であるBとその妻に、1995年ごろから共同で、日常的な世話を継続していました。しかし、2002年以降、認知症が顕著となった頃から、子供Bは常時付き添うようになります。

 

子供Bは被相続人を常に見守り、その排便の介助も進んで行いました。子供Bはその他の相続人へ、被相続人の扶養し続けた寄与分を主張した事案です(大阪家庭裁判所平成19年2月8日審判)。

 

【裁判所の判断】

 

裁判所は、子供B夫婦の2002年以前の日常的な世話は、被相続人が看護を必要とする健康状態とはいえないため、通常期待される扶養義務の範囲内にとどまると判断しました。

 

しかし、被相続人の認知症が顕著となった2002年以降の3年間は、特別の寄与があったと判断し、1日当たり8,000円(報酬相当額)程度と評価し、その3年分の876万円を寄与分と認めました。

療養看護型の寄与分を主張する方法…認められるためにすべきこと

自分の寄与分は他の相続人へ主張しないと、自分の遺産の取得分に寄与分は考慮されません。こちらでは寄与分を主張する方法と注意点、相談先について解説します。

寄与分を主張する方法と注意点

まずは自分で計算を行い、その後他の相続人へ主張してみましょう。遺産分割協議の際に主張し、相続人の全員が納得してくれたら、寄与分も含めた協議書を作成します。

 

ただし、自分が主張する寄与分に他の相続人が納得せず、遺産分割協議が不調に終わった場合、家庭裁判所へ「寄与分を定める処分調停」を申し立てましょう。調停は家庭裁判所の調停委員が当事者の主張を聞きながら調整し、調停案に合意する形で問題解決が図られます。この調停も不調に終わると家庭裁判所の審判に移行し、決定が下されます。

 

ただし、家庭裁判所の調停・審判を行う際は、予想外に問題解決が遅くなる可能性もあります。解決までに1年以上かかるおそれがあるので注意しましょう。

寄与分で悩んだ場合の相談先

寄与分に関して相続人間で争いが生じた場合、法律の専門家である「弁護士」に相談してみましょう。弁護士が当事者の間にたって和解案を提示してくれる場合もあります。また、話し合いがまとまらなければ自分を代理人として、家庭裁判所への申立てを進めてくれます。

 

その他、相続診断士は相続全般に深い知識を有する専門資格者なので、寄与分等に関する悩みへ適切なアドバイスを行ってくれるはずです。

 

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