(画像はイメージです/PIXTA)

たったひとことの失言が、相手の心を踏みにじり、激しい怒りを買ってしまう。そんな失態を演じれば、大切な人間関係に取り返しのつかない亀裂が生じてしまいます。回復不能なコミュニケーションのミスを防ぐには、どんな点に配慮・注意が必要なのでしょうか。※本連載は桐生稔氏の著書『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

コミュニケーションで「相手の逆鱗触れる」とき

三流は、相手を否定し、

二流は、相手に詰め寄る質問をし、

一流は、どんな質問をする?

 

コミュニケーションにおいて、相手の逆鱗に触れることがあります。

 

それは「相手の〇を潰すこと」です。〇には何が入るでしょうか?

 

〇には、「〇を潰された」「〇に泥を塗られた」「〇を汚された」こんな言葉が入ります。そう、です。

 

「面子」という言葉も同じ意味で使われます。「面子にかかわる」「面子が保たれた」「面子が丸潰れだ」など、人はとにかく面子にこだわります。

 

時代劇を見ていると、面子を潰された武士が相手を斬り殺すシーンがありますが、武士にとって面子はそれほど大切なことなのです。

 

人は、「恥をかかされた」「バカにされた」「下に見られた」ときに、信じられないくらい凶暴になります。現代において、手が出ることはほぼないと思いますが、相手の面子を潰すというのはそれほど恐ろしいことなのです。

 

この話をすると、「私は、相手の顔を潰すようなことはしません」という人が大半です。

 

でも、本当にそうでしょうか。

 

「なんでそんなことにも気づかないの?」

 

「その案、本当によく考えた?」

 

相手は一生懸命やっているのに、ちょっとしたひとことで顔を潰してしまうことがよくあります。

 

相手の面子は丸潰れ、プライドはズタズタに。

 

なぜなら「自分を否定された」と感じるからです。

 

◆相手が抱える「問題」「環境」に焦点を当て、言及すれば…

では、相手の顔を潰さない質問とはどんなものでしょう?

 

微妙な違いですが、こう変えてみてください。

 

「どうしてそんなに時間がかかるの?」

  ↓

「結構時間がかかっているみたいだけど、困ってることない?」

 

「なんでそんなことにも気づかないの?」

  ↓

「何かわかりにくい点があったんじゃないの?」

 

「その案、本当によく考えた?」

  ↓

「よく考える時間がなかったのでは?」

 

後者の質問は、相手自身について言及しているのではありません。

 

相手が「困っていること」「わかりにくい点」「考える時間」、つまり相手が抱えている問題や環境に矛先を向けています。そうすれば相手の面子を潰さずに済みます。

 

相手を真っ向から否定するのではなく、他のことに目を向けて何か考えるきっかけを与えることです。

 

相手の顔を潰してしまうとき、ほとんどのケースが「そんなつもりはなかった」です。気づかずに相手の人格を攻撃しています。

 

そんなときこそ、質問の矛先を「相手」から「相手が抱える問題や環境」など、人格以外に向けてみてください。

 

あなたの質問が相手との融和を生み出し、より強固な関係性を築くはずです。

 

【Road to Executive】

 

一流は、相手の顔を潰さない質問をする

 

★質問の矛先は相手の人格以外に向ける

 

 

桐生 稔
株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役
日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー
日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー
一般社団法人日本声診断協会音声心理士

 

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※本連載は桐生稔氏の著書『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

質問の一流、二流、三流

質問の一流、二流、三流

桐生 稔

明日香出版

いま、一流のコンサルタント、コーチ、カウンセラー、会社のマネジメント層やスポーツチームの監督にいたるまでが、徹底的に質問スキルを学んでいます。 一流は、相手の心に響く「言葉」より、相手の心の琴線に触れる「質問」…

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