「あのう、翔太ちゃんのママですか?」
無事に葬儀や法事を終え、ようやく一息ついた由香さんは、今後の面倒な相続手続きや生活全般のことを思い悩んでいました。自宅マンションは団体信用生命保険の加入で完済となり、当面の生活費は保険金でどうにかなりそうですが、高額なマンション管理費を払い続けるのは難しいことから、いずれ売却して買い替える必要がありそうです。
すると、由香さんのスマホにまた、見知らぬ番号から着信がありました。
「もしもし?」
「あのう、翔太ちゃんのママですか?」
「…どなたでしょうか?」
「私、翔太ちゃんの、お兄ちゃんのママです」
「え…?」
妻だけが知らなかった、夫と幼馴染女性の関係
孝弘さんは、由香さんと結婚生活を送りながら、別の女性と婚外子をもうけていたのでした。しかも、婚外子は翔太ちゃんより先に生まれていたのです。
戸籍を調べてみると、孝弘さんは婚外子を認知していました。親族を交えて話を聞いたところ、その女性は孝弘さんの幼馴染で、くっついたり離れたりしながら、長年付き合ってきたというのです。そして、それを知らなかったのは、妻である由香さんだけでした。
後日、由香さんが孝弘さんのSNSを見てみると、その女性と孝弘さんとの膨大なメッセージのやり取りが出てきました。
孝弘さんはその女性に家庭内の不満や悩みを打ち明け、女性からいくつものアドバイスをもらっていました。なかには、プレゼントのアドバイスも含まれており、由香さんがもらって大喜びしたブランド品も、その女性からのおすすだったことが判明しました。
これらを見た由香さんは、怒りのあまり声をあげて泣いてしまいました。
婚外子も嫡出子も、相続の権利は同等
被相続人の死後、婚外子の存在が発覚するケースは、決して少なくありません。
資産家や会社経営者といった経済的なゆとりがある方が多く、なかには数十年にわたって「もうひとつの家庭」を維持しているケースもあります。
とはいえ、日本では重婚は認められていません。したがって、配偶者の立場にある方が絶対的に強い立場にあるのですが、子どもの場合は別です。以前は、婚外子の相続権は嫡出子の半分でしたが、平成25年に民法が改正され、相続権はいずれも平等に扱われることになりました(参照:法務省ウェブサイト https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html)。
由香さんは、専門家を交えて遺産分割協議を行いました。結果、婚外子となる子どもにも法定相続分相当額の金銭を支払うため、孝弘さんが購入していたタワーマンションは早々に売却し、資産の整理をすることになりました。
想定外の出来事が続き、由香さんは大変な思いをされましたが、いまは出身地に戻り、両親のサポートを受けながら落ち着いた生活を送っています。
人生には予想だにしない状況が訪れることがあります。そんなときに、感情に任せて行動すれば、後悔の残る結果になりかねません。信頼できる周囲の方と相談しながら、手に負えない場合は専門家の力を借りて、禍根の残らない方法で解決の道を探ることをお勧めします。
(※守秘義務の関係上、実際の事例と変更している部分があります。)
山村法律事務所
代表弁護士 山村暢彦
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