(※写真はイメージです/PIXTA)

これまで病院内の内線電話として広く使われてきたPHS。サポート終了や端末の入手自体が難しくなってきたことから、中小病院も含めてスマートフォンへの移行が進んでいます。本記事では、院内スマホのメリットや移行の際ののポイントについて、大分赤十字病院・院長の福澤謙吾氏が詳しく解説します。

必要な連絡が「確実に伝わる」チャット

病院内スマートフォンを導入して、最も業務効率の改善に役立ったと感じているのは、チャット機能にほかなりません。「1人対1人」の連絡はもちろんのこと、グループを作成する機能もあります。これらのものを活用して職員間の円滑なコミュニケーションをとっていくわけです。

 

「チャット機能ならよくあるSNSと同じではないか」と思われるかもしれませんが、患者さんの個人情報も含めて扱わなければならない病院内では通常のSNSを利用することができません。医療機関として必要なセキュリティを担保したかたちで行わなくてはならないのです。

 

その点でいえば、当院が採用した病院内スマートフォンにはチャット機能が標準装備されていますので、いつも慣れ親しんでいるSNSの操作感でコミュニケーションが行えます。

 

特に期待以上の効果を感じているのは、チャット機能にある「グループ作成」で、とにかく必要な連絡が「確実に伝わる」という安心感があるのが魅力です。

 

筆者自身は約10個のグループを作成しており、ここからいろいろな業務連絡を一斉送信するようにしています。既読機能があるので、まだ誰が読んでいないのかがわかり、別途電話して直接連絡することもできますし、チャット内にファイルを添付しても一定期間で自動消去されるため、とても安全な仕様といえます。

 

出所:著者作成
[図表1]大分赤十字病院のチャット活用(1) 出所:著者作成

 

もう1つ有効なのはカメラ機能です。たとえば、看護師からの電話のなかには「患者さんのドレーンが赤いです」「傷が赤くなりました」「皮疹が出ています」といったものがあります。

 

看護師がいくら状況を説明しても、言葉だけでは判断が難しい場面もあり、「実際にどのような状態なのか知りたいので、画像で見られたらありがたい」と感じておりました。

 

しかもこのような電話は夜間、休日にかかってくることもあります。看護師から連絡を受けると、医師としては気になって仕方がありませんから、結局見に行くことになります。でも見に行ったら「たいしたことなかった」ということが起こりがちです。

 

まずは画像で送ってもらえると、医師としては判断しやすく、看護師も含めてお互いの業務負荷が軽減されることになります。

 

出所:著者作成
[図表2]大分赤十字病院のチャット活用(2) 出所:著者作成

チャット活用の成否をわけるルール策定

せっかくスマートフォンでチャット機能を活用することになっても、各人がバラバラの目安で利用しますと、うまく行きません。院内ルールを決めて、きちんと守ってもらうことが重要になります。

 

当院では「急ぎの要件は電話、それ以外はチャット」で運用するように周知しております。重要でないような案件や緊急性のない案件につきましては、スキマ時間で対応できますので、自分のペースで仕事ができるようになり、効率性を大きく上げています。

 

ここまでをまとめますと、

 

・「急ぎの要件は電話、それ以外はチャット」というルールを徹底

・多くの人への連絡はグループチャットを利用

・口頭で伝えにくい情報を画像で伝達/共有

 

上記3点がポイントとなります。この3つを運用するだけでも、確実にスマートフォン導入のメリットは得られるでしょうし、日々の業務効率化の手応えを感じられるはずです。

 

出所:著者作成
[図表3]大分赤十字病院のチャット活用まとめ 出所:著者作成

 

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※本記事の著者である福澤謙吾氏は2023年9月8日には「コトセラ・ウェビナー」(

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